薬をたくさん買うと、税金が戻ってくるって本当?
配信日: 2020.04.11
この制度は、厚生労働省の指定した対象の医薬品を購入した金額が、世帯で1万2000円以上の場合に、税金が戻ってくるものです。この制度は「セルフメディケーション税制」といい、医療費控除の特例として、健康の維持増進および疾病の予防への取り組みとして設定されたものです。
セルフメディケーションとは、世界保健機関(WHO)によれば、「自分自身の健康に責任を持ち軽度な体の不調は自分で手当てをする」と定義されています。
つまり、病院に行って薬を処方してもらうのではなく、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品で、病気の予防や体調管理を自己責任で行うということです。
今回は、このセルフメディケーション税制について紹介します。みなさんも、払った税金を戻せるように一緒に確認してみましょう。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病の予防として一定の取り組みを行っている方が、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために1万2000円以上の対象医薬品を購入した場合に、所得税および住民税が戻ってくる制度のことです。
もちろん、所得税および住民税を払っている方が対象です。
税制の適用となる人は?
セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に、「健康の保持増進および疾病の予防に関する一定の取り組み」を行っている居住者が対象となります。
申告する人が下記(1)〜(6)のいずれかの「一定の取り組み」を行っている必要があります。確定申告の際に、その領収書もしくは結果通知表が必要になりますので、注意しましょう。
なお、申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が「一定の取り組み」を行っている必要はありません。ただし、「一定の取り組み」に要した費用(例えば、人間ドックの受診費用など)は控除の対象となりません。「一定の取り組み」とは、次のことをいいます。
(1)保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
(2)市町村が健康増進事業として行う健康診査
(3)予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
(4)勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
(5)特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
(6)市町村が健康増進事業として実施するがん検診
対象となる医薬品とは?
対象となる医薬品は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、薬局やドラッグストア等で購入できる医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)とされています。
ドラッグストア等で販売している医薬品のうち、パッケージに次のようなセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。
また、セルフメディケーション税制の対象とされる医薬品は、購入した際の領収書(レシート)に控除対象であることが記載されますので、確認してみましょう。なお、具体的な対象医薬費品の一覧は、厚生労働省ホームページで確認ください。
必要な手続き・書類は?
セルフメディケーション税制の適用を受けるためには、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」や税務署等で入手できる申告書を作成し、税務署に提出するか、「確定申告書等作成コーナー」から「e-Tax」を利用して確定申告ができます。もしくは、スマートフォンからでも申告できます。
確定申告の際には、次の書類の提出が必要です。
(1)セルフメディケーション税制を適用し計算した確定申告書
(2)セルフメディケーション税制の明細書(対象となる医薬品を購入した領収書・レシート)
(3)一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類
申告を行う対象となる年(対象の医薬品を1万2000円以上購入した年)に、予防接種や健康診断の受診など健康維持のための一定の取り組みを行い、その領収書または結果通知表
(参照)厚生労働省
「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
「平成30年分 確定申告特集 セルフメディケーション税制の概要・手続など」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー