住民税ってどうしてこんな額になるの? その計算方法とは

配信日: 2020.07.01

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住民税ってどうしてこんな額になるの? その計算方法とは
毎年6月になると、住民税の通知書が届きます。その内容を見ても数字ばかりで、実際は理解できていません、という方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、住民税の仕組みについて見ていきましょう。
秋口千佳

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

住民税ってそもそもどんなもの?

住民税とは、そもそも正式な名称ではありません。住民税は、「道府県民税」と「市町村民税」から構成され、正式には「個人住民税」(以下「住民税」)といいます。
 
住民税は、1月1日に所在する住所地から課税され、前年の1月1日から12月31日までの所得によって決まります。前年の所得の情報は、会社員なら年末調整、個人事業主の方は所得税の確定申告によって、お住まいの自治体に提供されています。
 
住民税の計算結果は、各市区町村より報告されます。会社員は、お勤めの会社にその情報が報告されます。その情報をもとに、お勤めの会社が6月の給料よりその額を控除し、その会社が市区町村ごとに従業員分をまとめて納付します。これを「特別徴収」といいます。
 
個人事業主などは、納付書が市区町村から届くので、原則はその納付書に基づき4回に分けて支払います(自動引落や1回払も選択可)。これを「普通徴収」といいます。
 
具体的な住民税の納付額は、前年の所得に基づいて計算される「所得割額」と、定額で決められている「均等割額」の合算で成り立っています。
 
「所得割額」は、前年の所得から一定の所得控除をマイナスした課税所得に税率を乗じて計算します。この場合の税率は、おおかた10%ですが、内訳(道府県と市区町村)が地域により異なり、税率そのものが10%ではないところもあります。
 
例えば、東京都の場合は23区とそれ以外で内訳は異なります。
 
一方で、「均等割額」は、各自治体の個別事情を考慮して決められています。そのため、同じ課税所得で同じ家族構成であっても、住民税の金額はお住まいの地域により異なります。その原因が「均等割額」の違いなのです。

住民税が非課税になることも

住民税が非課税になる条件は、以下の通りです。
 
●所得割額も均等割額も非課税
(1)生活保護法による生活扶助を受けている人
(2)障害者・未成年者・寡婦(寡夫)の人で前年の所得が一定金額以下である人
 
●所得割または均等割の一方が非課税
前年の所得が一定金額以下であること
 
なお、「前年の所得が一定金額以下」というのは、各自治体により細かく決まっているので、詳細はお住まいの自治体のホームページなどで確認してください。

実際に住民税を計算してみよう

これまでに述べました通り、所得割額の税率も均等割額の金額も、お住まいの自治体により異なります。
 
ここでは、京都府京都市在住の会社員男性(専業主婦の配偶者と高校生の子と一緒に暮らしている)を例に計算をしてみます(※)。所得は、前年の源泉徴収票を見れば分かります。前年の源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得です。
 
【例】
給与所得控除後の金額:350万円(給与所得)
 
課税所得は、所得(給与所得)から一定の所得控除額をマイナスします。ここで注意が必要なのは、所得税の所得控除額と住民税の所得控除額が異なるところです。そのため、源泉徴収票の所得控除額とは一致しません。控除額は各人の状況により異なるので、各人で確認が必要です。
 
【例】
社会保険料控除額  50万円
配偶者控除額     33万円
扶養控除額       33万円
基礎控除額      33万円
 
なお、上記のほか、生命保険料控除額などもありますが、この例では割愛します。
 
350万円-(50万円+33万円+33万円+33万円)=201万円
 
課税所得(201万円)が分かると、あとは簡単です。
 
●所得割額
201万円×10%(府民税:2%、市民税:8%)=20万1000円
●均等割額
2100円(府民税)+3500円(市民税)=5600円
●住民税
20万1000円+5600円=20万6600円

住民税は前年の所得により決まる

ここまでお読みいただいた通り、住民税は「前年の所得」により決まります。例えば、前年末に退職し、今年の収入がなかったとしても、住民税を納める必要があります。つまり、概算でもよいので、納めるべき住民税の額を知っておくことは大切です。
 
会社員は、特に所得税・住民税は給与から天引きされる人が多く、税金の支払いに意識が向かないのも事実です。そのため、自己都合による退職はもとより、定年退職で大きな所得を得ると、住民税の納税通知(納付書)が届いて、その金額の高さに驚かれることもしばしばです。
 
個人事業主の方は、もっと深刻です。収入が大きくダウンしたとしても、住民税は前年の所得により計算されるため、住民税を納める必要があります。
 
ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した方は、納税の減免や猶予という制度があるので、お住まいの自治体にご確認ください。
 
この機会に、住民税の「納税通知書」を確認し、前年の所得からどのように計算されて納税額が決まっているかを意識することにより、身近な税金を知る機会になればと思います。
 
最後に、余談ですが、まれに自治体の計算に誤りがあり、金額が間違っていたという事例もありますので、計算方法を知っているのと知らないとでは大違いです。
課税証明書が届いたら、まず確認してみてください。
 
出典 ※京都市情報館「個人市・府民税」
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士


 

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