親を扶養に入れたい。そんな場合の注意点とは?

配信日: 2021.02.25

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親を扶養に入れたい。そんな場合の注意点とは?
扶養に入れられるのは配偶者や子どもだけではありません。条件次第では、収入の少ない親も扶養に入れることができるのです。今回は、親を扶養に入れる際の注意点を解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

税法上の扶養と健康保険上の扶養がある

一口に扶養といっても税法上の扶養と、健康保険上の扶養とがあります。条件を満たすことで親をどちらの扶養に入れることもできるのですが、それぞれ要件が異なるので注意が必要です。
 
例えば、税法上の扶養は生計を一にしており、年間の合計所得金額が48万円以下であるなどの条件が必要なのに対し、健康保険上の扶養においては年齢が75歳未満であることが必要とされています。
 
また、扶養する方が加入している健康保険が国民健康保険の場合、健康保険上での扶養ができません。国民健康保険には扶養という概念が存在しないからです。
 

高額療養費制度での自己負担額が増える可能性がある

扶養する親に持病があり、高額療養費制度を利用している場合は特に注意が必要です。高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口などで支払った医療費がひと月当たりの上限額を超えた場合に、その超えた部分が支給される制度です。この際の上限額は、年齢や所得によって変化します。
 
親が子の扶養に入ると上限額の判定に当たり、子の収入も基準に入ってしまうため、医療費などの状況によっては所得税や健康保険料で節約できた金額よりも、高額療養費制度の支給分による減少額が大きく、扶養に入れるメリットが小さくなってしまうこともあります。
 

健康保険上の扶養は会社ごとに異なる部分がある

全国健康保険協会(協会けんぽ)であれば、基本的に次のような条件を満たすことで親を扶養に入れることができます。

(1)扶養に入れる親と同一世帯に属している場合は、親の年収が130万円未満かつ被保険者(子ども)の年収の2分の1未満
(2)扶養に入れる親と同一世帯に属していない場合は、親の年収が130万円未満かつ被保険者(子ども)の援助額より少ない

 
しかし健康保険組合によっては、その他にも独自の要件を課していることもあります。親を扶養に入れる際は、必ず加入している健康保険組合に相談するようにしてください。
 

生計を同一にしている必要がある

親を扶養に入れるには基本的に生計を同一にしている必要があります。生計を同一にしているとは、必ずしも同居していることまでは要せず、扶養する人からの金銭的な支援で扶養される人が生活できていれば、別居していても生計を同一にしていると判断されます。
 
言い換えれば、ただ単に親の収入が少なかったり、仕事をしていないというだけでは生計を同一にしているとは判断されず、同居していたり、別居しているのであれば相当額の金銭的支援をしているといった事情が必要であるということです。
 

親を扶養に入れる際は条件やデメリットを要確認

扶養には税法上の扶養と健康保険上の扶養があり、必ずしも親を両方の扶養に入れられるとは限りません。また、高額療養費制度を利用している方は親を扶養に入れると、かえって全体の負担が増えてしまうこともあり得ます。
 
親を扶養に入れる際は要件を満たしているかを確認することはもちろんですが、扶養に入れる前後で全体の負担がどう変化するかも確認しておくべきでしょう。
 
出典
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
全国健康保険協会 被扶養者とは?
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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