更新日: 2021.02.28 その他税金

競馬の払戻金に税金はかかる? かからない?

競馬の払戻金に税金はかかる? かからない?
2020年度の日本の競馬界は、牝馬・牡馬とも3冠達成馬が現れ、また牝馬のアーモンドアイが過去最高のG1優勝9回、生涯獲得賞金も最高の19億円強を獲得するなど、牝馬活躍の年となり大変盛り上がりました。
 
皆さまの中には競馬で儲かった人、損をした人がいらっしゃるかと思いますが、今回は平成29年度の裁判でも問題になった「競馬の払戻金にかかる税金」について説明します。
小久保輝司

執筆者:小久保輝司(こくぼ てるし)

幸プランナー 代表

30数年の営業経験と金融・経済の知識をマッチング納得いくまでお話しさせていただきます。

公営ギャンブルとは

公営ギャンブルとは、公営による施行が許可されたかけごとで、「公営競技」には競馬・競輪・競艇・オートレースの4つがあります。そして広い意味での公営ギャンブルには「宝くじ」なども含まれます。
 
かけごとは、勤労意欲を失わせる、金銭のトラブルを発生させるなど弊害が伴いやすいので、刑法で禁じられています。特例として、特定の目的を達成するため健全な娯楽の範囲内で弊害を除去することを前提に公認されたのが公営ギャンブルです。
 

競馬とは

公営ギャンブルのなかで、最も人気があり、売り上げも高いのが競馬です。
 
令和2年度の実績では、馬券の総参加人員は延べ1.7億人弱、馬券の売得金額は約3兆円弱となっています(※1)。
 
競馬は農林水産省の管轄で、畜産振興と福祉事業を目的としています。競馬には、「中央競馬」と「地方競馬」があり、「中央競馬」は特殊法人の日本中央競馬会(JRA)が主催し、「地方競馬」は地方自治体が主体となります。
 
競馬の「払戻金」は、売上額の75%が払い戻され、残りの25%は中央競馬の場合、経費を引いた残りが国庫納付金として国に治められ、地方競馬の場合は、地方自治体の財源資金となり、自治体の税収の増加、公共事業への投資・地域振興などにつかわれます。
 

競馬の払戻金にかかる税金は

競馬で予想が当たり、払戻金を受け取る場合、この払戻金は「所得」ということになります。
 
競馬の払戻金にかかる税金については、今まで競馬の払戻金は一時所得として扱われていました。しかし、平成29年12月25日の最高裁の判決により、「所得区分」は、馬券購入の期間回数・利益発生の規模などの状況を総合判断して決めることになりました(※2)。
 
競馬の払戻金の所得区分の判断は難しいのですが、

(1) 年間を通じて収支で利益が得られるよう工夫し多数の投票券を購入し続けること
(2) 年間を通じての収支で多額の利益を上げていること
(3) 回収率(支出に対する収入の割合)が100%を超えるよう投票券を購入し続けること

の3点を満たし利益を上げた場合は雑所得となりますが、それ以外は一時所得となりました。
 
従って、単発で購入する一般の競馬愛好家につきましては、従来と変わらず一時所得に該当することになります。
 

競馬の税金の具体的な計算方法は

一時所得と雑所得の場合、所得税額はどのようになるのかを、具体例を用いて比較してみましょう。
 

<一時所得の場合>

「対象となる総収入額-支出した金額-50万円(特別控除)/2=一時所得」
で計算し、この金額を総所得金額に合算します。
 
ただし一時所得には、50万円の特別控除がありますので、払戻金が50万円以下の場合は申告の必要がありません。
 
※具体例  馬券購入10万円で、100万円の払戻金がある場合は
「100万円-10万円-50万円=40万円/2=20万円」を総所得金額に合算

 

<雑所得の場合(年金所得以外)>

「総収入額-必要経費=雑所得」で計算し、この金額を総所得金額に合算します。
 
※具体例 馬券購入10万円で、100万円の払戻金がある場合は
      「100万円-10万円=90万円」を総所得金額に合算

 
このように、払戻金が一時所得なのか雑所得なのかによって、金額や計算の仕方が大きく変わってくることが分かります。
 
なお、公営競技の払戻金に係る所得の計算は、確定申告時に、「公営競技の払戻金に係る所得の計算書」に「払戻金に係る受取額」・「払戻金に係る投票額(当たり券の投票額)」などを入力して計算できます。
 

まとめ

最近は女性の競馬ファン「UMAJO」も増えておりますし、ピクニックとして家族でお弁当を持参して競馬場へ足を運ぶのも楽しいのではないでしょうか。またお気に入りの馬の馬券の購入は、競馬場へ行かなくても、電話・インターネットを利用することも可能です。
 
ただし、健全な娯楽の範囲で楽しみ、熱中しすぎてギャンブル依存症などにはならないよう注意しましょう。
 
[出典]
(※1)日本中央競馬会(JRA)「JRAの概要 成長推移」
(※2)国税庁「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」
 
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表
 

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