仕事中に大ケガ!休業中は給料が出ないので生活できなくなってしまいます…所得を保障してくれる制度はありますか?
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
療養補償給付
仕事中や通勤途中にけがや病気になり治療を受ける場合、労災保険から医療費の全額が給付され(療養補償給付)、傷病が治癒(症状固定)するまで補償されます。健康保険の自己負担は3割なので労災保険を利用しましょう。
ただし、労災保険が指定した病院(労災病院など)以外の病院などで受診した場合は、いったんかかった医療費を全額立て替えた上で、あとから返金してもらう(療養の費用の給付)ので、傷病した本人にとって大きな負担になります。
また、労働災害であるにもかかわらず、間違って健康保険で治療を受けてしまった場合は、受診した病院に対して健康保険から労災保険への切り替えができるかどうかを確認してください。
切り替えができる場合、病院の窓口で支払った金額(3割)を返還してもらいます。切り替えができない場合は、一時的に医療費の全額を自己負担した上で、労災に請求します。
労災の休業補償給付と健康保険の傷病手当金
仕事中や通勤途中のけがや病気が原因で労務不能になり休業した場合、会社から給与が出ないと生活に困窮してしまいます。この休業期間中の生活費を支えるのが休業補償給付です。
給付されるのは、休業1日につき、給付基礎日額(事故発生前3ヶ月の平均給与の日額)の6割ですが、休業特別支給金として2割がプラスされますので、トータルで給与の8割が確保できます。健康保険の傷病手当金は「支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日」の3分の2と比較すると、労災保険の休業補償給付のほうが手厚い補償内容となっています。
労災の休業補償給付も健保の傷病手当金も待期は3日間で、支給は4日目からです。傷病手当金の場合は「連続して3日休んだこと」が支給要件になっていますが、休業補償給付では断続していても構いません。また、休業補償給付では待機3日間は、業務災害の場合(通勤災害は対象外)、会社が「休業補償(労基法)」として平均賃金の60%以上を負担しなければならないのに対し、傷病手当金では会社はこの期間に賃金を支給する法的な義務はありません。
また、傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヶ月なのに対し、休業補償給付は治癒(症状が固定)するまで支給されます。
傷病補償年金
療養開始後1年半が経過しても、そのけがまたは病気が治らなくて療養を継続する場合、国が定める傷病等級表の第1級から第3級に該当すると、労働基準監督署の職権により、休業補償給付に代わって傷病補償年金が年に6回(偶数月に2ヶ月分)支給されます。なお、療養補償給付は引き続き支給されます。
休業補償給付金は、症状の重さにかかわらず、休業特別金も含めて給付基礎日額の8割が支給されるのに対し、傷病補償年金は症状の重さにより支給日数が異なります。
最も重い傷病等級第1級になると年間、給付基礎日額の313日分、最も軽い3級でも245日分が支給されます。さらに、傷病等級に応じて、傷病特別支援金(一時金)および傷病特別年金が支給されます。傷病特別支援金(一時金)は、等級別に114万~100万円、傷病特別年金は等級別に算定基礎日額の313日~245日分支給されます。
傷病等級第3級の状態より軽くなった場合には年金は打ち切られます。継続して療養を受け仕事を休まなければいけないときは、休業補償給付の請求をします。
まとめ
仕事中や通勤途中に負ったけがは、労災保険と健康保険のどちらを使用するかを選択することはできず、必ず労災保険を使用します。
もし、誤って健康保険を使用した場合は、保険者が負担している医療費(7割)を保険者に返してから労災保険へ請求する手続き、または、医療機関において労災保険へ切り替える手続きをすることになりますので留意しましょう。
出典
厚生労働省 労働災害が発生したとき
厚生労働省 労災保険に関するQ&A
全国健康保険協会 傷病手当金
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
