円高になったら損しない?為替リスクを負ってまで海外ものに投資する理由

配信日: 2019.08.13

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円高になったら損しない?為替リスクを負ってまで海外ものに投資する理由
なぜ、わざわざ為替リスクを負ってまで海外ものに投資するのか? その理由が腑に落ちない限り、必ず出てくる疑問と不安。歴史的な流れをふりかえることで理由を探りたいと思います。
 
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

なぜ為替は動くのか?

まず、そもそもなぜ為替は動くのかを確認しましょう。通貨に限らず、モノの価格は需要と供給のバランスが釣り合うところで決まります。
 
1ドル手に入れるために100円払うのが妥当だと考えるならば、1ドル=100円になりますし、そこまで払って1ドルを手に入れる必要はない、というのであれば円高(例えば1ドル=90円)となります。その需要と供給のバランスが経済的、政治的、それ以外の事故や天災などで刻々と動きます。
 

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理論的には金利差に適合するように着地

理論的には金利差で説明できるところに着地すると考えられます。
 
例えば、日本人でも米国人でもない第三国の人間で、外貨預金をしようと思ったときにどちらに投資するか、となると2%の金利がつく米国と、金利がつかない日本とどちらに預金をしようと思うでしょうか? 当然米国預金にしますよね。
 
そう考えればドルが選好されてドルの価値が上昇し、以前なら100円払えば手に入れられた1ドルは110円払わないと手に入らなくなります。
 

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かつて70円台まで円が上昇したのは?

そこは納得いただけても、「かつて70円台まで円高になったことを考えると、いつまたそうなるかわからない」という反論が聞こえてきます。筆者はそのような時代はもう来ないと思っています。
 
超円高時代の1990年代前半は、米国ではブラックマンデー後で景気低迷のただ中にあって、製造業全般に競争力があった日本の貿易黒字が積み上がっていました。今でも日本の自動車業界は製品・コスト両面からの競争力は高く維持されています。
 
しかし、当時と比べて電機・ハイテク業界の日本企業のステイタスは相対的に低下しています。海外の傘下に入っている企業もあります。
 
一説には、部品数が圧倒的に多い自動車産業では合議制によって製品開発・設計・改良をしていくという日本製造業ならではの強みが発揮され続け、そこがゆるぎない競争力の原点であるといえる一方、電機業界は個々の開発者や設計に携わる担当者の強みがよりダイレクトに反映されやすい特徴をもっています。
 
優れた開発者がいれば、自動車産業に比べて素直に製品競争力に直結する、となれば、今後もエレクトロニクス業界ではグローバルな競争激化に勝ち抜いていかなければなりません。
 
かつてのような日本企業一人勝ちという時代に戻ることは、極めて考えにくいといわざるをえないでしょう。したがって超円高に戻るというのは、これら経済環境を根こそぎひっくり返すような、大きな政治的イベントや何らかのニュースが起こらない限り、あり得ないとするのが妥当だと思われます。
 
仮にそういったイベントがあったとしても、そのことによって引き起こされる円高は短期的な動きに過ぎないでしょう。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者
 

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