公開日:2019.11.15 資産運用

日本経済の成長は今後どうなる? 資産運用をするなら知っておきたい日本の未来

資産運用では、成長が期待できる国や地域に投資することが大切ですが、日本は長期的に見て、他の国々よりも成長が期待できるのでしょうか? 日本の経済成長について、経済学者の話を聞く機会がありましたので、それを踏まえて考察したいと思います。
 
村井英一

執筆者:

執筆者:村井英一(むらい えいいち)

国際公認投資アナリスト

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト検定会員
大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立し、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、ライフプランニング、資産運用、住宅ローンなどを得意分野とする。近年は、ひきこもりや精神障害者家族の生活設計、高齢者介護の問題などに注力している。

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村井英一

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執筆者:村井英一(むらい えいいち)

国際公認投資アナリスト

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト検定会員
大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立し、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、ライフプランニング、資産運用、住宅ローンなどを得意分野とする。近年は、ひきこもりや精神障害者家族の生活設計、高齢者介護の問題などに注力している。

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景気拡大と経済成長は違う

今後の経済成長を占う上で確認しておきたいのが、景気拡大と経済成長は違う、という点です。景気は好況と不況を繰り返しますが、そのうちの好況にあたるのが景気拡大です。
 
それに対して、その国の潜在的な成長力によって、長期的に経済が拡大していくのが経済成長です。経済成長が土台にあって、その上で好況と不況を繰り返します。
 
潜在的な成長力である「潜在成長率」が、GDP(国内総生産)成長率で年率5%であるのなら、好況時は8%前後、不況時は2%前後ぐらいになるでしょう。一方、潜在成長率が2%なら、好況時は4%前後、不況時は0%前後となるでしょう。景気の変動で、GDP成長率も上下しますが、土台が違えば同じ好況でも成長率は異なります。
 
政府の行う対策も異なります。財政拡大や金融緩和などは景気拡大のための施策であって、経済成長を高めるための施策にはなりません。景気拡大策を推し進めても、それは景気のテコ入れには寄与しますが、根本的な経済成長を高めることにはつながりません。
 
この点を混同して、議論される傾向があります。どうしても景気拡大に目が行きがちですが、土台である経済成長が高まらなければ、経済成長率の上昇には限界があります。
 
では、日本経済の状況はどうでしょうか?
 
アベノミクス以降、景気拡大が続いていますが、経済成長が芳しくないようです。潜在成長率は、1990年代は4%程度でしたが、最近は1%台と見られています。
 
1人当たりGDPで見ると、1990年代は世界第3位でしたが、最近は20位前後と大きく下がっています。世界各国の経済成長に後れを取っている状況です。土台が1%であるなら、景気拡大策で経済を拡大しようとしても、無理があります。
 

生産性の上昇がポイント

日本の潜在成長率を引き上げるには、どうしたらよいでしょうか? 一般に経済成長率は、
 
<経済成長率=就業者の伸び率+労働生産性の上昇率>
 
と分解できます。最近の日本の状況を見てみましょう。
 
就業者は、近年増えています。景気の拡大で、女性や高齢者の就業が増えているからです。人手不足が言われていますが、働いている人も増えているわけです。しかし、長期的には伸び率が低下し、やがてはマイナスとなる、つまり就業者が減っていくことが考えられます。
 
少子化で就業年齢の人口が減るからです。日本が成長していくためには、人口減を補うだけの労働生産性の伸びが必要になります。それができれば、人口減も恐れることはありません。
 
労働生産性はさまざまな要素で決まりますが、現状では日本の労働生産性はアメリカと比べて、かなり低い状況です。日本のサービス業や小売業は、「おもてなし」に注力するあまり、かなり非効率になっているようです。
 

高齢化の進展で活力のない社会に

日本の生産性を上昇させるためには、どのようなことをする必要があるでしょうか?
 
1つは、企業の新陳代謝を促すことです。弱くなった既存の産業を保護するのではなく、規制緩和で新しい産業や企業の成長を促進する必要があります。
 
労働者が移動しやすいように、失業対策でフォローすることも大切です。最低賃金を引き上げることで、利益の上がらない企業の淘汰を促すという意見もあります。
 
2つ目はイノベーション(技術革新)です。製造業の研究・開発だけでなく、特に非製造業における「新しい工夫」が求められます。IT化やキャッシュレス化の促進もその1つです。
 
ただ、どちらもなかなか進んでいないのが現状です。アベノミクスの3本の矢として「民間投資を喚起する成長戦略」が掲げられましたが、具体的な施策はそれほどありませんでした。相変わらず、業界の慣習が新陳代謝を阻んでいるようです。
 
イノベーションについては、研究開発費においても、IT化やキャッシュレス化においても、国際的に見て日本は遅れが生じています。技術立国と言われていた状況は、過去のものとなりつつあります。
 
これは筆者の感触ですが、高齢化が社会の変化を拒む傾向をもたらしているのではないかと感じます。人口減もさることながら、生産性の向上という面でも、日本の経済成長は上昇が期待しにくいのではないかと思います。長期的な資産運用という面でも、日本ばかりでなく、世界に目を向ける必要がありそうです。
 
執筆者:村井英一
国際公認投資アナリスト

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