公開日: 2020.10.14 資産運用

老後資金の寿命を延ばしながら取り崩す。投資信託の活用

執筆者 : 仁木康尋

年金収入以外の定期収入がない高齢夫婦の場合、毎月の収支の赤字額は約5万円といわれています。この場合、毎年60万円を老後資金から取り崩すことになります。平均寿命が延びている中、老後資金の寿命も延ばしたいところです。投資信託は資産形成の方法のひとつとして活用されています。
 
最近は、運用しながら定期的な取り崩しを可能にするサービスを展開している金融機関も出てきています。今回は投資信託で運用しながら、定期的に資金を取り崩す方法と留意点を確認していきます。
 
仁木康尋

執筆者:

執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)

日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。

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仁木康尋

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執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)

日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。

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運用しながら取り崩す場合資金寿命はどのくらい延びるか?

夫75歳、妻73歳、老後生活資金として手元に1000万円。年金以外の定期収入はこの年からなくなり、毎年60万円を生活資金として取り崩す必要があると仮定します。
 
まず、運用はせずに1000万円を毎年60万円取り崩した場合で計算すると、1000万円÷60万円=16.6年、資金寿命は約16年(夫91歳、妻89歳まで)。
 
次に、1000万円を年2%の複利で運用しながら毎年60万円を取り崩す場合、資本回収係数表を参照して算出すると資金寿命は約20年になりました(夫95歳、妻93歳まで)。仮に年3%の複利で運用しますと資金寿命は約23年です(夫98歳、妻96歳まで)。
 
年2~3%の複利運用では、運用しない場合と比べると約4~7年資金の寿命が延びることになります。

運用しながら定期的に取り崩す方法

投資信託を定期的に取り崩す(売却する)方法は、【定額方式】【定率方式】【定口方式】の3つの種類があります。
 
【定額方式】
保有する投資信託を、毎月5万円などのように定額を決めて取り崩していきます。家計を管理する上ではとても使い勝手が良いのがメリットです。一方、投資信託の基準価額が安い時期は多くの口数を失ってしまいますので注意が必要です。積立投資のドル・コスト平均法と逆の効果が働きますので、仮に安値が長く続くと口数減少のスピードが当初の見込みよりも速くなり、資金寿命が短くなってしまう可能性もあります。
 
【定率方式】
保有する投資信託を毎月、その時点での保有口数の一定比率で取り崩していきます。口数の残高の推移は計算できますので、資金の寿命も把握しやすいのが特徴です。一方、初期は取り崩し口数が多く、期間の経過とともに少なくなってきます。また、月々の売却金額はその時点の基準価額による影響を受けますので、家計管理上はデメリットになるかもしれません。
 
【定口方式】
期間(最終受取年月)を指定し、保有する投資信託の保有口数をその期間で等分し、毎月売却していきます。定率方式と同様に、投資信託の基準価額によって取り崩し額は影響を受けます。家計管理の面ではやや不安定な面は否めませんが、期間(最終受取年月)を指定できますので、自身で資金寿命を決めることができます。

まとめ

【定額方式】【定率方式】【定口方式】それぞれの特徴があります。生活資金の安定性、資産寿命という軸で整理すると以下のとおりとなります。
 
◇生活資金の安定性を重視する場合
【定額方式】→【定口方式】→【定率方式】の順となるでしょう。【定口方式】でも基準価格の変動幅の少ない資産で運用することで、安定性の確保につなげていくことも可能です。
 
◇資産寿命を重視する場合
【定率方式】→【定口方式】→【定額方式】の順となるでしょう。特定の期間だけ収支を改善するために取り崩す必要がある場合には、期間が指定できる【定口方式】は使い勝手が良さそうです。【定口方式】【定率方式】は基準価額の影響を受けます。月々の取り崩し額に応じて家計を工夫する楽しみを見いだすと、逆に面白いかもしれません。
 
このように何を重視するかによって、取り崩しの方も変わってきます。投資信託で運用しながら取り崩しをお考えの場合には、それぞれの方法の特徴を理解した上で判断するのが良いでしょう。また、投資信託は元本割れになることも考えられますので、預貯金等の他の金融商品との併用も考慮していただくと安心です。
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

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