更新日: 2019.09.15 不動産投資

お金のサードプレイスって? 「不動産特定共同事業法商品」を知っていますか?

執筆者 : 上野慎一

お金のサードプレイスって? 「不動産特定共同事業法商品」を知っていますか?
以前に「サードプレイス」のことを書きました。「家」(ファーストプレイス)でも「職場」(セカンドプレイス)でもない、「第三の居場所」を指すものと理解されている言葉です。
 
これらはヒトの居場所の話題ですが、おカネについても「第三の居場所」のような考え方が提唱されているのを目にしたことがあります。一体どんなことなのでしょう。
 

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上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

「ミドルリスク/ミドルリターン」といわれる不動産投資

投資に関して、リスク(将来的な不確実性や変動要因)とリターン(投資から得られる収益)の関係は表裏一体であると指摘されます。
 
「ローリスク/ローリターン」の代表例は預貯金で、「ハイリスク/ハイリターン」の方ではFX(外国為替証拠金取引)などがよく例示されますが、不動産投資はその両極の中間位置「ミドルリスク/ミドルリターン」といわれているのです。
 
その不動産投資も、現物の不動産(マンション等ならば1部屋単位でも)への直接投資もあれば、J-REITのように不動産を保有・運用している組織体に対して株式を買うような形で間接投資するものなど、投資形態はさまざまです。
 
さらに対象物件にもいろいろなジャンルがあるため、利回りにもかなりの幅があります。
 

不動産投資の中でも第三の存在のようなものとは?

こんな不動産投資ですが、見聞きする機会が少ないと思われるのが「不動産特定共同事業法商品」。難しそうな用語ですが、まずは具体的にイメージするため、販売実績がある商品例の概要をいくつか見てみましょう。
 

 

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「不動産特定共同事業法商品」のポイントとは?

この「不動産特定共同事業法商品」というジャンル、そのポイントをざっとまとめると次の通りです。
 
<どんな仕組みなの?>
・投資家の出資等を受けて不動産会社など専門家の事業者が不動産取引により運用し、その収益を投資家に分配するものです。
・各投資家の出資単位は不動産丸ごと全部よりも引き下げられているので「不動産小口化商品」ともいわれ、3つの契約類型があります。
・その代表的なものが「匿名組合型」で、上記の商品例3つともそうです。投資家は、事業者が営業者となる組合に出資し、営業者は実物不動産を取得して運用します。不動産の所有者として営業者が登記され、出資者の名前は出ずに「匿名」となります。
 
<どんな経緯で生まれたの?>
・事業の仕組みは「不動産特定共同事業法」(1994年制定)で定められました。それ以前にも不動産小口化商品はありましたが、バブル経済崩壊等で事業会社の倒産が相次ぎ出資金が焦げ付くなどの被害を踏まえ、法制化されました。
・同法により不動産小口化商品を取り扱う「不動産特定共同事業者」は、資本金、財務基盤、内部統制などの要件が課されたうえで許可制(国土交通大臣または都道府県知事)となり、投資家保護が図られています。
 
<メリットやデメリットなどは?>
・元本の保証はなく、値動きもあります。また換金の際には組合営業者である事業者を介すことが必要です。
・現物不動産に比べて少額で始められ分散投資もしやすく、管理・運営・賃貸運用の手間もなく、現金化しやすいといえます。
・また元本保証はないものの、投資家の出資を「優先出資」にして事業者も「劣後出資」をすることで、出資金返還や分配金受取に投資家の優先権を確保して元本割れしにくくする仕組みが設定されるケースがあります。
・先ほどの商品例3つともそうなっていて、表の中の【〇%】が優先出資割合を示しています。
 

まとめ

もともと、投資家保護のために事業者を規制する仕組みづくりなどのために制定された不動産特定共同事業法ですが、近時では2013年と2017年に改正されています。
 
手続きや事業者要件を一部規制緩和するなど中小事業者が参入しやすい環境を整えることで、地方の空き家再生やクラウドファンディングなどにもこの仕組みを導入していこうとの意図があるようです。(末尾※参照)
 
今回はおカネの「第三の居場所」の話題が発端ですが、「ミドルリスク/ミドルリターン」の不動産投資の中にこんな商品もあることをイメージしていただけたでしょうか。現物不動産でもJ-REITでもない第三の存在として、今後さまざまな展開の可能性が感じられるジャンルかもしれませんね。
 
出典:(※)国土交通省「不動産特定共同事業等について」
《ご参考5》小規模不動産特定共同事業に係る参考資料の○小規模不動産特定共同事業パンフレットを参照
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士