更新日: 2019.11.12 その他資産運用
投資初心者が知っておきたい、行動ファイナンスとは?
行動ファイナンスの分野は、投資初心者の方でも、知っておくと、実は参考となるポイントがあります。今回は、行動ファイナンスの基本的な考え方を分かりやすくご紹介します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
行動ファイナンスとは?
最近では、囲碁の世界において、人間対コンピューター(AI)との対決が話題となりましたが、コンピューターと人間には大きな違いがあります。
一般的に、コンピューターは、プログラミングされた情報から、常に合理的な行動をとるものです。一方、人間は、感情を持った生き物なので、常に合理的な考え方や行動ができるわけではありません。
それは、「投資」においても同じことです。市場が大きく動き、損をしたり、もうかったりすると、人間の感情は大きく動きます。時には冷静な判断ができなくなり、合理的な行動をとれないケースが出てきてしまいます。
このような、人間の心理と行動について分析した分野のことを「行動ファイナンス」と言います。
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投資初心者が確認しておきたいポイント
次に、行動ファイナンスの代表的な考え方について、いくつかご紹介します。まず、人は、特に確固たる根拠がなくても、自分の投資判断は正しいはずであると考える「自信過剰」の性質があります。
現在損をしていても、「この後きっと値段が上がるはず」と自分の判断に自信を持ち、損をしている商品をなかなか売ることができないというケースもあるでしょう。
興味深いことに、女性よりも男性の方が、この「自信過剰」の傾向が強いという研究結果もあります。
また、投資を行っている場合、もうかったときの喜びよりも、損をしてしまったときの悔しさや痛みの方が、より感じやすいという性質があります。
例えば、損をしている場合、なんとかその損を取り戻したいと考えて、損失を最小限にする「損切り」がなかなかできないということがあります。
これは、合理的な判断ができていない人間特有の性質の1つで「損失回避」と呼ばれています。
行動ファイナンスは万能ではない
行動ファイナンスを学べば、コンピューターのように合理的な考え方ができるようになり、投資においても、大きくもうけることができると考える方もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。
残念ながら、投資において、必ずもうかるということはありません。行動ファイナンスによって人間の行動や心理を勉強すると、市場が大きく動いたときでも、より冷静にいられるかもしれませんが、行動ファイナンスは、投資における全ての判断を説明できるものではないことを覚えておきましょう。
今回は、「自信過剰」や「損失回避」をご紹介しましたが、行動ファイナンスには、そのほかにも、「メンタルアカウンティング」「主観確率」など、さまざまな考え方があります。
行動ファイナンスについて興味を持った方は、いくつかの書籍を読んでみると、より理解が深まるかもしれません。最近、投資を始めたという方は、ぜひ行動ファイナンスについて、勉強してみてはいかがでしょうか?
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者