つみたてNISAはどうして投資信託でしか運用できないの?
配信日: 2020.11.07
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
NISAで運用できる金融商品の違い
従来のように、NISAが今でいうところの一般NISAしかなかった頃は、非課税対象は「株式」にかかる売却益・配当金と「投資信託」にかかる売却益・分配金ということで、投資対象としては「株式」と「投資信託」の2つであることを知っておけば済みました。
しかし、つみたてNISAがスタートし、こちらは株式が投資対象から外れたことで混同しやすくなっているように思います。
●NISAの投資対象
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
投資対象 | 株式・投資信託など | 一定の投資信託 | 株式・投資信託など |
※金融庁 「NISA特設ウェブサイト」より筆者作成
上の表を見ると、つみたてNISAだけが投資信託でしか運用できないことが分かります。これに対し、一般NISAとジュニアNISAは株式も投資の対象となっています。
ちなみに非課税の対象になる部分は、正式には株式の場合は「譲渡益」と「配当金」、投資信託の場合は「譲渡益」と「分配金」です。譲渡益は、いわゆる株式や投資信託を売って得られる売却益のことです。また、配当金と分配金は似たようなものですが、配当金が株式からのもの、分配金が投資信託からのものと覚えておきましょう。
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つみたてNISAは投資信託でしか運用できない!
NISAの種類によって、なぜこのような違いが見られるのでしょうか。それは、つみたてNISAが老後の生活資金を準備することを目的としており、非課税期間が最長で20年間と、ある程度の安定運用が望ましいとされているからです。
一般NISAの場合、特段、これといった運用目的はありません。このため、株式でも投資信託でもいいわけですが、その代わり非課税期間が最長で5年間となっています。
また、ジュニアNISAでは子どもの進学資金を準備することを想定していますが、一般NISAと同様、投資対象は株式も投資信託も認められています。
非課税期間は最長で5年間ですが、これについては学資保険などのように長く積み立てていくことを前提とせず、「子どもの進学資金を準備するのに積極的にリスクを取るなら5年までにしましょう」という意味が含まれているためと考えられます。
●各種NISAにおける「非課税期間」
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 | 最長5年間 |
※金融庁 「NISA特設ウェブサイト」より筆者作成
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まとめ
「老後のお金を貯めるのに、つみたてNISAがいい」という話を聞いて、つみたてNISAに興味を持ったという方からのご相談を受けるときがありますが、運用の対象になっているのは投資信託です。
投資信託といっても、つみたてNISAの場合は「一定」の投資信託で、例えば販売手数料がかからないノーロードファンドと呼ばれるものであったり、信託報酬が一定水準以下のものなど、いくつかの条件を満たしている投資信託に限られています。
よく耳にするかもしれませんが、インデックスファンドがその代表例といえます。
インデックスファンドは日経平均株価指数などのベンチマークと相関性が高いため、これをもって安定運用が見込めるとされていますが、ベンチマークが乱高下するとインデックスファンドも乱高下するため、必ずしも安定的に運用できるというものではありません。
つみたてNISAは老後の生活資金を準備するための自助努力を税制面でサポートしてくれる制度としては評価できますが、あくまでもリスクの伴う資産運用です。老後のお金をリスクを取って準備するということの意味をしっかりと胸に受け止め、運用を行うようにしましょう。
出典
金融庁 NISA特設ウェブサイト
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)