更新日: 2024.07.18 融資
個人事業主に税理士はいらない? 税理士が必要なケースや費用の相場について解説
ただし、税理士に依頼するとなると、それなりに費用が発生しますので、売上から支払額を差し引くと手元に残るお金が少なくなります。そのため、売上の少ない個人事業主は、税理士への依頼はよく検討したほうがよいかもしれません。税理士に依頼するケースとそうでないケースでは、それぞれにメリットとデメリットがあります。
本記事では、個人事業主が税理士に依頼するメリットとデメリットを確認した上で、個人事業主に税理士が必要なケースや、税理士に依頼する場合の費用相場、注意点などについて解説していきます。さらに、税理士に関するよくある質問も紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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個人事業主に税理士はいらない?
結論から言うと、全ての個人事業主にとって税理士が必要というわけではありません。
しかし、税理士に依頼することで記帳や確定申告の正確性を高めることができます。税務署が確定申告や記帳の内容に疑問を抱いた場合、税務調査が行われその結果追徴課税が行われるなどのペナルティが課されることもあります。
さらに、取引先にまで調査が及び、先方に迷惑がかかる可能性もあります。そうなれば、取引先からの信用を失い、今後の取引を見送られるかもしれません。
個人事業主からの依頼を得意としている税理士や、個人事業主からの相談を歓迎している税理士も多くいますので、事業を継続・拡大するためにも税理士に依頼しておくと安心です。また、個人事業主の方は法人よりも税理士報酬が割安になりますので、コスト面での利用のしやすさも利点となります。
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個人事業主に税理士はいらないと言われる理由
個人事業主に税理士が必要ないとされる理由はいくつかあります。
無料の個別相談がある
まず、国や地方自治体が提供する無料の個別相談があります。
これらの相談窓口では、税務に関する基本的な質問に答えてくれます。また、税務署や商工会議所などが主催する税務に関するセミナーやワークショップも多く開催されています。これらの情報を活用すれば、税理士に依頼する必要性を感じない場合もあるでしょう。
インターネットの情報である程度できる
インターネット上には税務に関する情報が豊富にあります。公的機関のウェブサイトや専門的なブログ、オンラインの税務ガイドなどを参照すれば、必要な情報を自分で調べて対応することも可能です。
会計ソフトで対応可能な領域が広い
さらに、会計ソフトの存在も個人事業主が税理士を必要としない理由の一つです。
近年では個人事業主向けの会計ソフトが多数リリースされており、これらのソフトを利用すれば、簡単に経理や税務処理を行うことができます。これらのソフトは税法の改正にも対応しており、最新の税制に基づいた計算が可能です。
ただし、これらの理由が個人事業主全員に当てはまるわけではありません。
事業の規模や内容、個々の経験や知識によっては、税理士に依頼したほうが結果的に時間とコストを節約できる場合もあります。そのため、税理士を必要としないと言われる理由を理解した上で、自身の事業や状況に合わせて最適な選択をすることが重要となります
個人事業主が税理士に依頼するメリット
個人事業主が税理士に依頼することでどのようなメリットがあるのでしょうか。個人事業主が税理士に依頼するメリットは以下の7つです。
(1)帳簿付けや確定申告の正確性が高まる
(2)人件費を削減できる
(3)税制の変更にスムーズに対応できる
(4)経理の負担を軽減でき、本業に集中できる
(5)資金繰りや経営の相談ができる
(6)節税対策を行える
(7)税務調査に対応してもらえる
(1)帳簿付けや確定申告の正確性が高まる
個人事業主が税理士に税務関係の業務を依頼することで帳簿や確定申告の書類などの正確性が担保されます。
個人事業主の中には「これを経費にしても良いのか?」と悩んだり、「仕訳は問題ないか?」といった不安を抱えながら、経理業務や確定申告を行っている人が多くいます。税理士に相談すれば、プロの視点で確認してもらえるためこれらの不安が解消されます。また、経費にしてはいけないものを経費にしてしまったり、経費にできるものを見落としたりすることも防げます。
特に、税金面で優遇を受けられる青色申告の特別控除を受けるためには、複式簿記が必須となるだけでなく、各種ルールが細かく決まっています。そのハードルの高さから白色申告を選択する個人事業主もいます。税理士に相談すれば、記帳や会計などに関する詳しい知識がない方も青色申告で確定申告を行えます。
確定申告の内容にミスがあった場合は延滞金やペナルティの対象になることもありますので、税理士に依頼して正しく申告するようにしてください。
(2)人件費を削減できる
事業規模が大きくなり売上や取引先が増えると、日常の業務が忙しくなります。そうなれば、自分で経理の仕事をこなすことが難しくなっていきます。
経理担当者を雇用すると、正社員で1ヶ月につき約20万円、パートでも1ヶ月につき約10万円の出費になります。また、経理担当者を雇用したとしても期待通りに働いてくれなかったり、突然退職を申し出られたりすることもあるでしょう。
依頼内容や事業規模によっても変わりますが、税理士とは月額数万円から顧問契約を結べます。また、スポット契約であれば、確定申告のサポートを10万円以下で依頼することも可能です。
税理士を実績や人柄などを確認して選べば、確定申告の時期や多忙な時期に突然いなくなるような事態も防げます。さらに、税理士に節税対策を行ってもらえることを考慮すると、従業員を雇うよりもコストを抑えられる可能性が高いです。
(3)税制の変更にスムーズに対応できる
税制は毎年のように変化しており、常に情報を収集し、対応を行うことが求められます。
例えば、2023年10月からインボイス制度が始まり、2024年1月からは電子取引における電子データの保存が義務化(改正電子帳簿保存法)されます。開業前に既存の制度や法律などをある程度理解していたとしても頻繁に改定されるため、それで全て完結というわけにはいきません。
顧問税理士がいれば最新情報に対応したベストなアドバイスをもらえます。また、制度に乗り遅れるような事態も防げます。
(4)経理の負担を軽減でき、本業に集中できる
経理の業務は時間や手間がかかります。本業の合間に行わなければならないため、確定申告前は本業がおろそかになったり、請け負う仕事の量を調整したりしなければならないこともあります。特に、事業規模が大きい個人事業主や高い売上のある個人事業主は記帳作業の量が膨大ですので負担は大きいでしょう。
税理士に依頼すれば経理業務の負担が軽減されるため、本業に集中できます。経理作業にあてるはずの時間を本業にあてることで、より高い売上を得られ、最終的に手元に残る金額が大きくなるケースも多々あります。
(5)資金繰りや経営の相談ができる
個人事業主は一般企業の従業員のように上司や同僚に何でも相談できる環境に身を置いているわけではありません。誰にも相談できず、自分で全てを判断しなければならない状況にある個人事業主も多くいます。
こうした個人事業主にとって税理士は頼れる存在になります。税理士は事業の売上や経費などを集計し、月次残高試算表や資金繰り表などの書類を作成してくれます。これらは事業の資金や業績を客観的データで分析するための貴重な資料になりますので、今後の事業の方針や事業内容を考える上でも参考になります。
さらに、多くの経営者との取引実績がある税理士は財務状況をよく把握することができます。必要な書類を作成するだけではなく、資金繰りや経営についての悩みに耳を傾け、助言を与えてくれるかもしれません。
税理士の中には経営コンサルタントに強い人もいますので、複雑な相談がある方などは+αのサービスを取り扱う税理士への依頼がおすすめです。
(6)節税対策を行える
個人事業主の多くが節税対策の方法を知らなかったり、経費にできる品目を全て把握していなかったりします。
税理士は依頼人である個人事業主の税負担が軽くなるよう、節税対策を考えてくれます。経費として計上できる金額の範囲や税法上の特例など、税に関するプロならではの視点で節税できるポイントを探してくれます。税法上の特例は申告者が申し出ない限り適用されることはありません。最新の税制に精通している税理士であれば、効果的な節税対策を教えてくれます。
知識がない人が節税対策を行おうとするとルール違反になることもありますので、自己流での節税対策やあいまいな理解の状態での節税対策は注意してください。
(7)税務調査に対応してもらえる
個人事業主が税務調査の対象になることもあります。
顧問税理士がいる個人事業主は、契約の内容にもよりますが税理士に税務調査に対応してもらうことができます。調査に必要な書類をそろえてくれるため、自分で書類を探しまわったり、どの書類が必要なのか悩んだりしなくてよくなります。
個人事業主が税理士に依頼するデメリット
個人事業主が税理士に依頼するデメリットは以下の2つです。
(1)コストが発生する
(2)税理士によってスキルや対応に差がある
(1)コストが発生する
税理士に税務関係の業務を依頼すると、当然のことながら費用が発生します。
税理士に支払う報酬は顧問料と決算料(税務書類の作成報酬)の2つに分かれています。顧問料は顧問契約を結んだことに対して支払う報酬で、毎月支払うのが一般的です。決算料は決算書や申告書などを作成してもらったときに支払う報酬になります。決算料は基本的に年1回支払います。
ただし、全ての税理士に適用される税理士報酬規程はありません。税理士によって税理士報酬が異なりますので、依頼前に確認するようにしてください。
(2)税理士によってスキルや対応に差がある
税理士に依頼したからといって税務業務や経営などが必ずうまくいく、悩みが早急に解決されるという保証はありません。
税理士と一括りにしても業務範囲は幅広いため、それぞれに得意・不得意があります。自分の業界に詳しくない税理士に依頼すると、経営面などのアドバイスを期待することはできません。
また、確定申告において安全性を重視する税理士の中には、節税に消極的な姿勢の人もいます。確定申告を問題なく行うことを最優先とする場合、経費にする品目について厳しく確認することになります。
また、税理士と個人事業主の間には相性もあります。考え方や価値観がかけ離れた税理士だと、対応が好ましくないように感じることもあるでしょう。このような場合、税理士の対応や言動の1つ1つにストレスを感じてしまうことになるかもしれません。
多くの税理士が初回相談を無料、もしくは割安で受け付けていますので、本格的な依頼を行う前によく話してみることをおすすめします。
個人事業主に税理士が必要なケースとは?
全ての個人事業主に税理士が必要なわけではありません。税理士に依頼するとなると報酬が発生しますので、自分にとって税理士が必要なのかよく考えてみてください。個人事業主にとって税理士が必要なケースとして以下の4つが挙げられます。
(1)開業届を提出するとき
(2)事業の状況を把握したい
(3)法人化を検討している
(4)売上が1000万円を超えている
(1)開業届を提出するとき
個人事業主として開業しようと考えている方の中には、事業に対する自信があっても、開業手続きに不安を抱いている人も多くいます。
開業届を提出する前の時期は税理士に依頼するのにベストなタイミングです。開業届の書き方についての相談にものってもらえますので、開業届を正確、かつスムーズに記入できます。
また、新規事業の立ち上げ時には、多くの税務上の決定を行わなければなりません。事業形態、各種税務処理、初期の会計システムの設定などには多くの時間がかかります。税理士はこれらの事業を開始するにあたって必要となる手続きなどをサポートしてくれます。
また、税理士によっては開業時の資金計画について相談にのってくれます。資金計画についてプロの視点からアドバイスをもらうことで安心感も得られます。
(2)事業の状況を把握したい
事業規模が大きくなり毎月の利益を正確に把握したい場合や、経営がうまくいかない原因を知りたい場合は、税理士に1年を通して帳簿付けなどを依頼するのがいいでしょう。
契約内容によっては、税理士から月に1度程度アドバイスをもらえますので、経営改善に向けて行うべきことを把握できます。プロの客観的な目で見ることで、事業の状況を正確に把握できます。
(3)法人化を検討している
個人事業主の中には売上の拡大とともに「法人化」を検討する人も多くいます。法人化をきっかけに税理士に税務関連の業務の依頼を検討してみるのも良いでしょう。
個人事業主から法人に変わるにあたって、これまでとは異なる税制への対応を行わなければなりません。また、法人化することで税に関する対応や書類などがより複雑になりますので、自力での対応が困難になることもあるでしょう。
法人化に向けて動く時期は本業も忙しく、心身ともに疲弊しやすい時期でもあります。その状況下で、税務に関する手続きを行うと、思ってもいないミスをしてしまったりするかもしれません。税務に関する部分を税理士に任せることで負担を軽減でき、本業に多くの時間を割り当てられるようになり、集中して仕事に取り組むことができます。
(4)売上が1000万円を超えている
個人事業主の中には売上が1000万円を超えたタイミングで、税理士に依頼を行う人も多くいます。
売上が大きければ、それだけ税務上のリスクが高まります。売上1000万円以下の個人事業主と比べて税務調査の対象にもなりやすいでしょう。顧問税理士がいれば記帳ミスを防ぐことができたり、大きな売上があるからこそ生じるトラブルに備えたりできます。
個人事業主が税理士に依頼する場合の費用相場
税理士に依頼する場合に発生する費用(税理士顧問料)は年商・年間売上高と訪問回数によって決まります。税理士に依頼する場合の費用相場を、以下の年商別に確認していきましょう。
(1)年商500万円未満の個人事業主の場合
(2)年商500万円以上1000万円未満の個人事業主の場合
(3)年商1000万円以上3000万円未満の個人事業主の場合
(4)年商3000万円以上5000万円未満の個人事業主の場合
(5)年商5000万円以上1億円未満の個人事業主の場合
(6)年商1億円以上の個人事業主の場合
(1)年商500万円未満の個人事業主の場合
年商500万円未満の個人事業主は確定申告の前にのみ依頼するケース(スポット契約)が多いです。1年間の費用相場は約7~8万円になります。
(2)年商500万円以上1000万円未満の個人事業主の場合
年商が500万円を超えると確定申告時に限らず、税理士と頻繁に付き合うケースが増えてきます。
税理士に3~4ヶ月に1回関与してもらう場合は、月々の顧問料は1万円前後になります。年間の費用相場は12万円前後です。
また、年商500万~1000万円未満の個人事業主の中には確定申告のときだけ依頼する人も多くいます。この場合、1年間の費用相場は10万円前後になります。
(3)年商1000万円以上3000万円未満の個人事業主の場合
年商1000万円以上3000万円未満の個人事業主であれば、税理士に2ヶ月に1回程度関与してもらうと安心です。
顧問契約を結んで訪問回数を2ヶ月に1回にすると、顧問料は月額2万円~が目安になります。また、3~4ヶ月に1回関与してもらう場合の顧問料は、月額1万5000円~が目安です。確定申告のタイミングでのみ依頼する場合にかかる1年間の費用相場は15万円になります。
(4)年商3000万円以上5000万円未満の個人事業主の場合
年商が3000万円を超える個人事業主には確定申告時に限らず、税理士と顧問契約を結び、アドバイスなどを年間を通して受けることをおすすめします。また、このくらいの年収になると、税理士と会う機会も増えていきます。
税理士に毎月1回関与してもらう場合の顧問料は、月額2万5000円~が相場です。2ヶ月に1回関与してもらうのであれば、顧問料は月額2万円~が目安になります。訪問回数を3~4ヶ月に1回にした場合、顧問料は月額1万5000円~が目安になります。
(5)年商5000万円以上1億円未満の個人事業主の場合
年商5000万円以上1億円未満の個人事業主であれば、税理士から頻繁にアドバイスをもらうことをおすすめします。
顧問契約を結び、税理士に毎月1回関与してもらう場合の顧問料は、月額3万円~が目安になります。また、2ヶ月に1回関与してもらう場合の顧問料は2万5000円~が適正価格です。3~4ヶ月に1回関与してもらう場合は月額2万円~が目安になります。
(6)年商1億円以上の個人事業主の場合
年商1億円以上の個人事業主のほとんどが税理士と顧問契約を結び、1ヶ月に1回程度相談をしています。
顧問料は月額3万円~が目安になります。
上記はあくまでも相場になります。依頼する際は税理士に直接確認し、予算オーバーにならないように注意してください。
個人事業主が税理士に依頼する際の注意点
税理士へ依頼した後に後悔しないためにも、注意点をあらかじめ押さえておくようにしましょう。税理士に依頼する際の注意点として以下の3つが挙げられます。
(1)実績や経験があまりない税理士に依頼しない
(2)料金体系が不明確な税理士に依頼しない
(3)アクセスが悪い事務所に在籍する税理士への依頼は控える
注意点(1)実績や経験があまりない税理士に依頼しない
税理士を選ぶにあたって実績や経験は見落とせない項目になります。経験が浅い税理士に依頼すると、税理士自身も対応が分からず、ことがうまく収まらなかったり、適切な助言をもらえなかったりします。
また、税法は複雑ですので、税理士にとって得意分野も異なります。ある分野では優秀な税理士であっても依頼内容によってはベストな対応ができないというケースもあります。
税理士の実績や経験は税理士事務所の公式サイトやそこに掲載されている税理士のプロフィールなどから確認できます。また、優秀な税理士の中には自身の得意分野をテーマにした記事をオウンドメディアや雑誌に寄稿している人も多いです。これらを参考に、依頼を検討している税理士がどのような経験がある人なのか確認するようにしましょう。
注意点(2)料金体系が不明確な税理士に依頼しない
税理士に依頼する場合、顧問料などの費用は税理士や事務所によって異なります。そのため、顧問料などの費用をしっかりと確認し、料金の明確さについても確認してください。
「他の税理士よりもリーズナブルだったから依頼したものの、追加料金が頻繁に発生して割高になった」「低価格ではあるものの、相談に応じてもらえない」「打ち合わせに別途費用が発生した」など、想定外の出費がかさまないように注意しましょう。費用の内訳やトータルでかかる費用の目安を押さえることで、想定外の費用の発生を防げます。
注意点(3)アクセスが悪い事務所に在籍する税理士への依頼は控える
税理士に依頼する際はその税理士が在籍する事務所に気軽に行けるかどうかも重要なポイントです。規模の大きい個人事業主であれば、税理士と毎月のように面談を行う可能性も高まります。本業の合間に遠方の事務所に行くことは大変ですし、場合によっては移動時間が本業に差し支えることもあります。
また、事務所までの距離だけでなく、アクセスのしやすさも重要です。公共交通機関を利用する方であれば、駅からの距離は見落とせないポイントになります。車で事務所に訪問する予定の方は駐車場の有無も確認しておきましょう。
個人事業主が良い税理士を選ぶポイント
税理士への依頼を検討されている方の中には、どの税理士に依頼すべきなのか悩まれている方が多くいます。
良い税理士を選ぶポイントとして以下の4つが挙げられます。
(1)税務申告以外の相談が可能
(2)人当たりが良い
(3)相性が合う
(4)レスポンスがスピーディー
ポイント①税務申告以外の相談が可能
税理士の独占業務は税務申告についての仕事です。とはいえ、優秀な税理士や依頼者思いの税理士の多くが税金の計算などの税務申告以外の相談にも応じてくれます。
個人事業主の中には税理士に経営状況について相談にのってもらっている人もいます。例えば、経費削減方法や利益の伸ばし方を税理士に相談する個人事業主は多いです。
ポイント②人当たりが良い
いくら優秀な税理士であっても人当たりが悪い税理士であれば、長く関係を継続することはできないでしょう。面談の度に、横暴な態度をとられたりすると、ストレスがたまります。税理士に会いに行くのが苦痛になってしまうと、事業にも影響が出ることもあるでしょう。
人当たりが良く、依頼者思いの税理士であれば、税務に関する業務を安心して依頼できるだけでなく、個人事業主としての悩みなども相談できます。ビジネスパートナーとしてふさわしい相手なのか見極めましょう。
ポイント③相性が合う
個人事業主にとって税理士は大切なビジネスパートナーです。何度か話してみて、相性が合うかどうかにも着目してみてください。
税理士によってビジネスに関する考え方や経営に関する考え方が異なります。自分と重要な部分で異なる考えをもつ税理士に依頼すると、思うように相談ができなかったり、求めている答えをもらえなかったりすることもあります。
また、1人の人間として話しやすい相手であるかも確認しましょう。
ポイント④レスポンスがスピーディー
税理士に質問や相談の連絡をしても、レスポンスがなかなか来なければ、不安になったり、業務が止まってしまうこともありますので、スケジュールにも影響が出ます。
また、確定申告などで問題が生じた際には迅速に対応しなければなりません。そうした中で、税理士からのレスポンスが数日なければ、期日に間に合わなくなったり、対応できなくなったりすることもあります。
税理士のレスポンスのスピードは、顧客サービスの質とも関係しています。最初の問い合わせの段階で対応の早さやコミュニケーションの質を確認しておくようにしましょう。
税理士に関して個人事業主からよくある質問
税理士への依頼を検討している個人事業主であれば、何かしらの疑問を抱いているものです。そこで、税理士に関してのよくある質問として以下の4つを紹介します。
・開業したばかりで何をすれば良いのか分かりません。どうしたら良いですか?
・複数の税理士と話してから依頼する税理士を決められますか?
・税理士のスポット契約も可能ですか?
・税務関係のことを税理士に相談することもできますか?
開業したばかりで何をすれば良いのか分かりません。どうしたら良いですか?
開業時には開業届の提出など各種書類の提出、経理体制の構築が必要です。開業したばかりで、知識のない方が独力でこれらを行うのは大変でしょう。開業届の作成や経理体制の構築などについても、税理士に相談することができます。
複数の税理士と話してから依頼する税理士を決められますか?
多くの税理士が初回の面談を無料、もしくは割引価格で受け付けています。個人事業主にとって税理士は大切なビジネスパートナーですので、複数の税理士と話してみて、自分にとってベストな税理士を見つけてください。
税理士のスポット契約も可能ですか?
税理士との契約には継続的なサポートを依頼する顧問契約、単発で業務を依頼するスポット契約という2つの方法があります。
「スポット契約」は個人事業主の多くが選択している契約形態で、確定申告の際に申告書類の作成などを依頼します。年に1度の利用となりますので、コストを抑えることができます。売上がまだ安定しておらず、確定申告に不安がある個人事業主の方は申告業務のサポートのみ、税理士に依頼すると良いでしょう。
ただし、スポット契約では節税対策の相談は難しくなります。税理士に依頼するのは確定申告のタイミングになりますので、事前に効果的な節税対策を経理状況に合わせて講じてもらうことはできません。また、一時的な契約の場合、経営や事業の相談にのってもらうことは難しくなります。
税務関係のことを税理士に相談することもできますか?
個人事業主の多くが税申告に関する相談を主に税理士にしています。とはいえ、税理士は税務に関するプロフェッショナルですので、税務調査、節税相談、相続税申告など税務に関するさまざまな相談内容に対応できます。
売上が多くない個人事業主には会計ソフトがおすすめ
売上が安定しない個人事業主が税理士に報酬を支払うのは、大きな負担となります。また、売上が少ない個人事業主は取引している企業数や毎月の売上、経費なども少ない傾向にあるため、確定申告の負担が軽いケースも多いです。
会計ソフトを使うことで会計や税務に関する知識があまりない方も、自分で記帳や確定申告を行えます。また、会計ソフトは自動で計算などをしてくれるためミスを減らせるだけでなく、短時間で作業が完了するというメリットもあります。
また、税制面で優遇を受けられる青色申告を行う際にも会計ソフトの利用がおすすめです。青色申告は複式簿記で帳簿を付けなければならず、知識がなければ正確な帳簿が作成できません。しかし、会計ソフトを活用すれば、これらの知識がない方も入力するだけで青色申告に対応できます。
個人事業主に対する税理士の必要性
個人事業主は本業と合わせて、会計や税務に関する業務を行わなければなりません。税制は複雑であるばかりか、毎年のように改定されていますので、日々情報を収集し、対応していくのは容易ではないでしょう。これらのことは手間や時間を要しますので、税理士に依頼し、負担を軽減することをおすすめします。
また、会計や税に関することは複雑で難しいため、自分ではしっかりとできていると思っていてもミスがあったり、認識の違いがあったりすることも珍しくありません。確定申告にミスがあると、延滞税などの追徴税が発生し、資金繰りがうまくいかなくなることもあります。税理士に依頼することで確定申告をミスなく行え、正確な記帳ができるという安心感にもつながります。
個人事業主も税理士に依頼して税務に関する業務負担を軽減しよう
個人事業主にとって税理士は必ずしも必要ではありません。会計ソフトを活用することで税務や記帳に関する知識がない人でも、確定申告を問題なく行えるケースが多いです。
しかし、確定申告で不備が合った場合や記帳に関する不明点が生じた際に、相談できる人がおらず悩む個人事業主も多くいます。税理士に依頼することでプロの視点からアドバイスをもらえるため、疑問や悩みなどを早期に解決しやすくなります。
さらに、税理士は節税に関するアドバイスをくれることもあります。経費にできる支出項目が増えることもあり、手元に残るお金が多くなるケースも多いです。税理士に依頼すると費用が発生しますが、トータルで見ると利益が増えて得することもあります。税理士はいらないと考えている方もメリットや今後の経営プランなどを考慮して検討してみてください。
出典
税理士紹介センター 株式会社ビスカス 個人事業主(フリーランス)は税理士に依頼するべき? そのメリットとデメリットを徹底解説
かなで総合会計 個人事業主に税理士は必要?丸投げした場合にかかる費用・メリットを解説
税理士法人エヴィス よくある質問(F.A.Q.)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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監修:柘植輝
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