更新日: 2019.01.11 貯金

ダイエットが苦手な人は貯蓄も苦手? その関係性は「時間割引率」にあった?

執筆者 : 前田菜緒

ダイエットが苦手な人は貯蓄も苦手? その関係性は「時間割引率」にあった?
読者の皆さんは、ダイエットの経験はありますか? もし、ダイエットで成功した経験があるのであれば、貯蓄が得意なタイプかもしれません。
 
ダイエットは、理想とする将来のために、現在の甘い誘惑に打ち勝ち、将来の理想の姿を目指すもの。それは貯蓄にも通じるものです。
 
今買いたいものを我慢して、未来の自分のために貯蓄する。
 
どちらも今の自分よりも、将来の自分の価値を重視していることになります。
 
前田菜緒

Text:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

「時間割引率」という考え方

将来よりも現在の満足を重視する度合いを表すモノサシとして、「時間割引率」という考え方があります。
 
現在を重視する人ほど時間割引率が高い人(せっかちタイプ)、将来を重視する人ほど時間割引率が低い人(忍耐強いタイプ)という考え方です。
 
例えば、今、8万円もらえるのと、1年後10万円もらえるのでは、どちらを選択しますか? 8万円を選択する人は、現在を重視するタイプ、時間割引率が高い人、10万円を選択する人は時間割引率が低い人ということです。
 
ダイエットに成功したり、貯蓄が得意だったりすることは、時間割引率が低いということになります。
 

現在を重視する人の貯蓄対策は

では、時間割引率が高い人の貯蓄対策はどうすればよいでしょうか。将来よりも現在のためにお金を使ってしまう傾向があるわけですから、先取り貯蓄をすることが有効でしょう。
 
先取り貯蓄で、現在使えるお金に制限をかけてしまうのです。給料が入ってきたら、使う前に貯蓄にまわしてしまいましょう。
 

貯蓄ができれば、運用にも挑戦してみよう

ただ、できれば貯蓄したお金は運用で増やしたいものです。今年からはじまった「つみたてNISA」は、投資初心者でも始めやすいように金融庁が選定し投資信託のみを対象とした、少額から積み立てられる制度です。
 
金融庁が選定した投資信託ですから、比較的低リスクで、かつ運用に伴うコストが抑えられた商品が多数あります。
 
「つみたてNISA」を始めるには、まず口座を開設する必要があります。つみたてNISAを取り扱っている金融機関は、平成30年3月時点で、500社ほどあります。
 
ただし、「つみたてNISA」で運用できる商品の数を、ある程度そろえている金融機関は多くありません。リスクを抑えた運用を行うには、分散投資が必要です。少なくとも、分散投資できる程度の品ぞろえは必要です。
 
下記のモーニングスターさんの「つみたてNISA総合ガイド」というページでは、金融機関と対象商品数一覧を見ることができ、便利です。
http://nisa.morningstar.co.jp/sales/company.html
 

「つみたてNISA」のメリット

「つみたてNISA」は、積立投資をしながら得た売買益に対する課税が非課税になる制度です。もし、毎月2万円を積立し、20年間平均利回り3%で運用できたとすると、利益は約170万円です。
 
本来ならこの利益に対して、約20%の税金がかかるのですが、「つみたてNISA」であれば、収益すべてが自分の財布の中に入ります。この税制優遇は大きいですね。
 

現在の自分も大切だけれど、将来の自分も大切

「つみたてNISA」はいつでも引き出しできますが、現在の価値を重視してしまう時間割引率が高いタイプの人は、目的の金額になるまで引き出しをしないのもポイントでしょう。
 
貯まる仕組みと増やす仕組みを構築して、将来の自分のために今から準備をはじめましょう。
 
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者