更新日: 2024.10.10 家計の見直し
「増税前に買いだめ」はちょっと待って!まとめ買いの3つの落とし穴
買う物は同じでも税率がアップする分だけ確実に支出は増えます。消費税が上がる前にまとめ買いをしようと考える人もいるかもしれません。今回はまとめ買いが有効なのかどうかについて紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
まとめ買いの3つの落とし穴
消費税が上がる前にまとめ買いをすると、消費税率がアップする2%分の支出を抑えることができます。金額面では確かに効果がありますが、まとめ買いには注意したい点があります。
まず、まとめ買いに向く商品と向かない商品がある点です。消費期限や賞味期限がある商品はまとめ買いに向かないかもしれません。まとめ買いをするということは、つまり「使わない期間が長くなる」ということです。物は少しずつ劣化していきます。まとめ買いをした場合は、使うときに質が落ちているかもしれません。
次に、保管場所が必要という点です。まとめ買いをすると、普段よりも買った物を置いておく場所が必要です。いつもの置き場所だけでは足りない場合はどうでしょうか。通路にはみ出すように置いてしまうと生活に支障をきたすかもしれません。また、物置など普段目にしない場所に置いてしまうと、まとめ買いしたことを忘れてしまうかもしれません。これではまとめ買いをした意味がうすれてしまいます。
最後に、普段以上に消費してしまう可能性です。いつもより多く買ってしまったために「たくさんあるから」と気が大きくなるかもしれません。また消費期限や保管で場所を取っていることが気になって「早く減らしたい」と思うことで、いつもより多く使うかもしれません。いつもと同じペースで使うのであればまとめ買いの効果もありますが、いつもより多く使うことになるのならば、結局はムダ遣いになりかねません。
今回の消費税増税に伴って実施される政策
今回の消費税率10%へのアップに伴って、さまざまな政策が実施されます。日常の買い物に関係する政策としては次の3つがあります。
1つ目は「軽減税率制度」です。対象は大きく2つあり、飲食料品(食品表示法に規定する食品[酒税法に規定する酒類を除く]が対象で、外食は含まれません)と新聞(定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞)です。これらの消費税率は8%のままですので、今回の税率アップをあまり気にする必要はありませんね。
2つ目は「キャッシュレス・消費者還元事業」です。対象店舗でキャッシュレス決済制度を使って支払いを行うと、5%または2%がポイント還元されます。還元期間は2019年10月から2020年6月までです。ポイントを有効に活用できれば消費税率アップの影響を抑えることができそうです。
3つ目は「プレミアム付商品券」です。消費税率10%への引き上げに伴い、家計の負担を緩和し地域の消費を下支えするために発行されます。住民税非課税の人、小さな乳幼児のいる子育て世帯が対象です。
一人あたり最大2万5000円分の商品券を2万円で購入することができます。この商品券は2019年10月1日から2020年3月31日まで使うことができます。プレミアムの割合が高いので有効に活用したいですね。
家計管理は同じペースを守ろう
まとめ買いには落とし穴があります。いつもと違う状況を作ってしまうと、家計の安定したペースが乱れてしまいムダが発生する可能性があります。
今回の消費税率10%への引き上げでは、さまざまな政策が実施されます。消費税が上がることに対しては制度を有効に活用することで対応し、まとめ買いはひかえて購入するペースを変えないほうがよいでしょう。
ただし、普段から2、3ヶ月分などをまとめ買いしている場合、大きくペースを乱さない範囲であれば問題ないでしょう。たとえば、本当なら10月がまとめ買いの時期ならば、9月に1ヶ月だけ前倒しするような工夫はよいかもしれません。家計管理は同じペースを守ることを基本にしつつ、柔軟な対応も必要です。
参照・出典:政府広報オンライン「知ってほしい!軽減税率制度のこと」
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員