2008年から2018年の間で家計はどう変わった?平均給与は?支出が増加した項目って?
配信日: 2020.01.31 更新日: 2024.10.10
今回は各種統計情報を元に家計の収入や支出傾向が2008年から2018年の期間でどのように変化してきたかを解説していきたいと思います。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
平均給与の動向について
家計の消費支出と密接な関係のある平均給与の動向はどうなっていたのでしょうか?国税庁が発表している民間給与実態統計調査の結果からひも解いていきます。
【平均給与の動向について】
2008年から2018年はリーマン・ショック(2008年)による世界的な大不況や東日本大震災(2011年)による影響で大きな変動にさらされた時代となりました。
2008年に約430万円あった平均給与は、 2009年には約406万円に減少し、2010年には412万円と若干持ち直しましたが、2011年には409万円まで下落してしまいます。その後、アベノミクスがスタートした2013年からは一転上昇に転じ、2018年には約441万円を示すまでになりました。
家計の支出傾向の変化
2008年から2018年において2人以上世帯の世帯主の平均年齢は55.7歳から59.3歳と高齢化し、世帯の平均人数も3.13人から2.98人へと減少し、高齢化と少人数化が進みました。
家計の支出額も少人数化に併せて減少し、2008年では月額29万6932円の支出を行っていましたが、2018年では月額28万7315円と約3.2%減少しました。支出全体で見ると大きな変化はないように思えますが、各支出項目を個別に確認してみると以下のように大きな増減が生じているものが見られました。
【増加した支出項目】
・食費(+7.2%)
・保健医療費(+4.6%)
・自動車等関係費(+8.5%)
・通信費(+12.5%)
【減少した支出項目】
・被服及び履物(-13.9%)
・交通費(-6.1%)
・教育費(-7.4%)
・交際費(-22.4%)
・教養娯楽費(-12.1%)
※括弧内は増減率
これら支出項目の変化は主に以下のような理由で生じたものと推測されます。通信費はスマートフォンの普及などから大幅に増加していきました。また、自動車等関係費の主な増加要因は自動車の購入費用であるため、運転アシスト機能などのサポート機能が充実した車両の購入が背景にあるものと推測されます。
この他にも世帯主の平均年齢が上がった影響からか保健医療費などの支出が増加している点や、ファストファッションの拡大による衣料品への支出減少といった時代を反映した支出額の変遷も確認することができます。
まとめ
2008年から2018年では、身の回りにあるさまざまな物やサービスが変化していき、それに伴い支出額の多寡も変遷しています。統計情報では、支出額が増加していた項目は通信費が大きな増加傾向を示し、支出額が減少した項目では衣料品や交際費、教養娯楽費がそれぞれ減少していました。
支出傾向はスマートフォンの普及やファストファッションへの移行などで支出額が変化したもののほかに、交際費・教養娯楽費など生活必需品以外の支出も大きく減少していました。
これは平均給与が大きく減少した期間を経たため消費マインドが引き締まり、平均給与が回復した以降も支出額の抑制が続いているものと思われます。支出傾向は世相の変化や加齢、消費マインドにより影響を受けます。支出の増加・減少といった変化を知ることで支出を節約するポイントを見極めていきましょう。
出典
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
総務省統計局「家計調査(家計収支編)二人以上の世帯 年報」
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表