自衛隊は「高校卒」より「大学卒」で入るほうが“高年収”ですか? やはり大学卒業後のほうが“メリットは多い”でしょうか?「給与・キャリア」もあわせて比較
2024年度の改定により初任給は大幅に引き上げられ、一般曹候補生の高校卒と幹部候補生の大学卒で月額約5万円、年収にして約81万円もの差が生じています。
本記事では、高校卒と大学卒の違いについて解説します。
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初任給の違い
自衛隊の給与は、「防衛省の職員の給与等に関する法律」に基づいて支給されます。給与体系は階級と勤続年数によって定められており、高校卒と大学卒では採用区分が異なるため初任給にも差があります。
一般曹候補生として採用される場合の初任給は、以下のとおりです(2024年度改定後、地域手当等を除く)。
・高校卒:月額22万4600円(年収約373万円)
・大学卒:月額23万9600円(年収約398万円)
月額で1万5000円、年間では賞与を含めて約25万円の差があります。なお、賞与は期末手当と勤勉手当として年2回(6月と12月)支給され、年間4.6ヶ月分となります。幹部候補生として採用される場合はさらに差が広がります。
・大学卒程度試験合格者:月額27万3600円(年収約454万円)
・大学院修士課程修了者:月額28万7600円(年収約477万円)
高校卒の一般曹候補生と大学卒の幹部候補生では、月額で約5万円、年収では約81万円の差が生じます。
ただし、一般曹候補生の大学卒者(23万9600円)は、幹部候補生の大学卒程度試験合格者(27万3600円)よりも初任給が低く設定されています。
キャリアパスの違い
高校卒で入隊する場合、一般曹候補生として2士からキャリアをスタートします。昇進の流れは以下のとおりです。
・入隊時:2士(月額22万4600円)
・入隊1年9ヶ月後:士長(月額約24万2800円)
・入隊約2年9ヶ月後:3曹(月額約26万円)
・入隊4年後以降:幹部候補生部内選抜試験の受験資格取得
3曹になると部下を持つ立場となり、小隊規模の指揮を執る機会も生まれます。部内選抜試験に合格すれば幹部への道が開けます。
大学卒で幹部候補生として採用される場合は、約1年間の教育訓練を経て3尉として配属されます。最初から幹部としてキャリアをスタートでき、部隊の指揮や管理業務を担当します。30代で3佐に昇任すると年収は約600万円に達します。
それぞれのメリット
・18歳から実務経験を積める
・専門技術を早期に習得でき、20代前半で高い専門性を身につけられる
・大学進学した場合の学費が不要で、入隊直後から給与を得られる
・住居費や食費が基本的にかからないため可処分所得が高く、20代で数百万円の貯金を築くことも可能
・現場での実務経験を長く積むことで、技術面でのスペシャリストとして認められる機会が多い
・最初から幹部として指揮官のキャリアを歩める
・初任給が高く、昇進のスピードも早い傾向にある
・大学で学んだ専門知識を生かせ、より高度な業務に携わる機会が増える
・部内選抜試験を経ずに幹部としてスタートできるため、将来的に上級幹部を目指すには有利
・若いうちからマネジメント経験を積めることが、将来のキャリア形成において大きなアドバンテージとなる
まとめ
自衛隊では、高校卒と大学卒で初任給に大きな差があります。2024年度の改定により、高校卒の一般曹候補生の初任給は高校卒22万4600円、大学卒の幹部候補生は27万3600円となり、月額で約5万円、年収では約81万円の差が生じます。
キャリアパスも異なり、高校卒は実務経験を積みながら段階的に昇進し、大学卒幹部候補生採用は最初から幹部としてスタートします。どちらを選ぶかは、早期に専門性を身につけたいか、指揮官としてのキャリアを歩みたいかによって決まります。どちらのルートでも国家公務員として安定した収入と福利厚生が得られます。
出典
防衛省・自衛隊 自衛官募集サイト
e-Gov法令検索 防衛省の職員の給与等に関する法律
執筆者 : 上野梓
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
