2018.01.07相続

「相続人は、世界の子供達です」相続問題を「寄付」で解決する提案

Text : 宮﨑 真紀子

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相続対策で第一に考えるべきことは、「争族」を避けることです。「争族」になるのは、相続人が複数人いる場合とは限りません。子どものいない夫婦やおひとり様の場合も注意が必要です。誰に何を遺すかを考えることになりますが、「寄付」という選択肢もあります。

やはり遺言書は必要

子どものいない夫婦にとって、自分たちが亡くなった後、財産をどうするのかは悩ましいところです。例えば、子どものいないAさん(女性)の夫が先に亡くなるとします(一次相続)。夫の両親が既に他界している場合は、配偶者である妻のAさんと夫の兄弟が法定相続人となります。兄弟も他界していれば甥姪が代襲相続をします。最近は親戚といっても疎遠な場合が多いので、あまり交流のない甥姪と分割協議をするのは大変です。
 
その後、妻であるAさんが亡くなります(二次相続)。妻の両親も他界していたら、Aさんの兄弟が法定相続人となります。Aさんの財産をめぐり、残された兄弟で争族になる場合もあります。子どものいない人が遺言書の作成を勧められることがあるのは、こういう理由があるからです。
 
生前お世話になった親戚に、お礼の意味を込めて財産を遺すことには賛成です。ですが、それによって、残された親戚同士の関係が悪くなっては大変です。また、疎遠な親戚に後を託すのも、かえって無責任にも思います。“立つ鳥跡を濁さず”やはり遺言書の作成は大切です。
 

「寄付」で社会に還元も考える

「相続人は、世界の子どもたちです。」というのは、ユニセフ遺産寄付プログラムのキャッチコピーです。誰に何を遺すか~「誰に」は親族とは限りません。私事ですが、我が家は子どもがいませんので、子孫に遺す代わりに“世界の子どもたち”に遺すことも考えようと思っています。
 
両親は亡くなっていますので、法定相続人は兄弟姉妹(または甥姪)になります。ある程度の金額を法定相続人に遺し、残りは寄付したいです。
寄付の一例として、ユニセフ協会の場合を調べてみました。まず、寄付の方法は3つあります。
 
(1)自身の遺産を寄付する。
(2)故人から相続した財産を寄付する。
(3)お香典返しに代えて寄付する。
 
(1)の場合は、遺言書に記載が必要です。法的に有効な遺言書を作成するために、事前にユニセフ協会に相談するのが良いようです。全額を寄付する必要はなく、私が考えているように、一部を寄付することが出来ます。現金以外の不動産などの寄付も受け付けていますが、現金化が前提になりますので、事前に問い合わせが必要です。兄弟以外の法定相続人には「遺留分」として財産の一定割合を受取る権利がありますので、寄付により権利を侵すことのないように、注意が必要です。
 
(2)のケースも増えているそうです。(1),(2)の場合は、相続財産のうちユニセフ協会に寄付された部分は相続財産に属さなかったとして、全体の相続財産額が算出され、相続税が軽減されることになります。
 
(3)の場合は、お香典は相続財産ではないので、税金への影響はありません。ユニセフ協会からは会葬者への“お礼状”が用意されています。
 
「児孫のために美田を買わず(子孫に美田を残さず)」とは西郷隆盛の言葉だそうです。子どものいる場合も、ある程度の財産を遺し、残りは社会に貢献するということも考えてみませんか。ちなみに来年の大河ドラマの主役は“西郷どん”です。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

宮﨑 真紀子

Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。