最終更新日:2019.05.17 公開日:2019.02.24
相続

お孫さんの教育資金を援助すると贈与税がかかる?非課税にする特例とは?

近年の相続税の増税によって、相続対策の一つといわれている生前贈与に関心が高まっています。生前に非課税で贈与できる制度はいくつかあるのですが、今回はお孫さんやお子さんから特に喜ばれる、教育資金の非課税の特例について概要を解説したいと思います。
 

非課税で教育資金を贈与できる制度とは?

ライフプランをたてる上で大切なのは、人生の三大資金といわれている「住宅資金」「教育資金」「老後資金」をしっかりと準備することです。そのうちの一つ、教育資金を非課税で贈与してあげられる制度があるのをご存知でしょうか。
 
平成25年4月より「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の制度が始まっています。
 
祖父母や親などから、30歳未満の子や孫へ教育資金として贈与する1500万円まで(学校等以外への支払いは500万円まで)の金額が非課税となる制度です。用途はあくまで教育資金として支払いをするものに限定されます。
 
平成31年度の税制改正大綱で適用期限の延長の発表があり、期限が平成33年3月31日までとなる予定です。
 
教育資金とは、学校等に支払う入学金や授業料、学校給食費等が挙げられます。また、学用品の購入代金や修学旅行費なども該当しており、広い範囲の費用がカバーできるようになっています。1500万円のうち500万円までは、学校外に支払う学習塾やスポーツ教室などの習い事に使用することもできます(注1)。
 

メリットと注意点

この制度を利用するメリットは、なんといっても一括で1500万円のまとまった資金を非課税で贈与できることです。
 
もともと、扶養義務者(父母や祖父母)から通常必要と認められる範囲内の生活資金や教育資金をもらった場合には、贈与税がかかりません。しかし、将来かかる学費などをまとめて渡すことはできず、その都度受けわたす必要があります。
 
この教育資金の非課税制度を使えば、一度にまとまった資金を贈与税が課されることなく渡すことができます。また、使用が教育資金に限られているため、ほかの用途に使ってしまう心配がないということも、渡す側からすると安心できるのではないでしょうか。
 
注意点を渡す側と、受け取る側にわけて考えてみます。
 
渡す側の注意点としては、一度この制度を使って贈与すると払い戻しができなくなることです。数年後に「やはり老後資金が足りなくなったので贈与した金額から払い戻しをしたい」と申し出ても、できないので注意が必要です。後の生活に支障の出ない範囲で、余裕をもって贈与を検討することをおすすめします。
 
受け取る側の注意点としては、30歳までに使い切れなかった分は贈与税がかかるということです(注2)。何歳になっても利用できるというわけではなく、お子さんやお孫さんが30歳に到達して使い切れなかった分に関しては、贈与税の対象となります。
 
また、教育資金であることの証明をするために、領収書などを金融機関に提出する必要がありますので、ただ受け取って終わりということではなく、その都度手続きが必要になるということも覚えておきましょう。
 

よく相談してから利用を!

もともと贈与には、暦年贈与とよばれる毎年110万円までの贈与であれば非課税という制度もありますので、この制度と併用することでより効率的に資金を渡すことができるでしょう。
 
一見メリットが多くみえるこの制度ですが、利用するための注意点もいくつかあります。注意点も含めてご家族で話し合ってから検討することをおすすめします。
 
(注1)受贈者が23歳に到達した以後に支払われるものに関しては、一部使途の範囲に改正が予定されています。
(注2)30歳到達時の贈与税の課税について、学校等に在学している場合など一部適用の改正が予定されています。
 
詳しくは財務省ホームページの「平成31年度税制改正の大綱」をご確認ください。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html
 
執筆者:小沼鮎子(こぬま あゆこ)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
 
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小沼鮎子

執筆者:小沼鮎子(こぬま あゆこ)

ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者

大学を卒業後、大手証券会社に就職。約10年間、個人のお客様への資産コンサルティング業務に主に携わる。勤務中に、資産コンサルティング業務の延長線上に、ファイナンシャルプランナーという仕事があることを知り、お客様に寄り添ったコンサルティングができることに共感し、資格を取得。アメリカでは資産管理の一生涯のパートナーとして時には金融に詳しいお茶飲み友達として身近な存在であるファイナンシャルプランナーという仕事を、日本でも普及させたいという志を持って一般の方への情報発信をしている。



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