最終更新日:2019.06.18 公開日:2019.04.12
相続

相続のキホン(3)法定相続人の範囲は?

前回、「相続財産とはどのようなものか」と「財産リストアップのポイント」ついてお伝えしました。
 
相続対策を検討するとき、財産の全容を把握することと共に「相続人は誰なのか」を把握しておくことが重要です。ところが、法定相続人の範囲について勘違いされている人は少なくありません。
 
今回は「法定相続人の範囲」を説明します。
 
西山広高

執筆者:

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
http://www.nishiyama-ld.com/

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西山広高

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執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

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法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められた相続人です。遺言書がない場合、法に従って相続されることになり(法定相続)、お亡くなりになられた人(=被相続人)の配偶者と血族のうち、誰が相続人になるかを定めています。
 

法定相続人の範囲

法定相続人になり得るのは、被相続人の配偶者と血族(=血のつながりのある親戚)です。姻族(=婚姻によって出来た親戚)は法定相続人になりません。
 
被相続人の配偶者は常に相続人となります。配偶者が被相続人より先に亡くなっている場合は、以下の優先順位に従って相続人がすべての財産を相続します。
 
同順位の相続人が複数いる場合には、その全員が相続人になります。上位の優先順位の相続人が一人でもいる場合には、その下の順位の血族は相続人になりません。
 
配偶者以外の血族のうち誰が法定相続人に当たるかについては、優先順位があります。以下の第一順位から第三順位までの人が相続人になり得ますが、第一順位の相続人が一人でもいる場合、第二順位以降の人には相続権はないのが原則です。
 
●第一順位の相続人…被相続人の子。子が被相続人より先に亡くなっている場合等は、直系卑属(孫・ひ孫等)
●第二順位の相続人…被相続人の直系尊属(父母・祖父母等)
●第三順位の相続人…被相続人の兄弟姉妹。ただし、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合等は、その者の子(甥・姪)。
 

 
前妻との子、あるいは婚外子がいる方の場合、その子も法定相続人です。
 
以前は婚姻関係にある男女の間に生まれた子(=嫡出子)と婚姻関係にない男女の間に生まれた子(=非嫡出子)との間で相続割合が異なっていましたが、憲法違反であるとの最高裁判決を受け、平成25年9月5日以後に開始した相続については、嫡出子、非嫡出子の相続割合は同じになりました。
 
相続が発生すると、戸籍を収集し、相続人を確定する作業があります。もし、認知している婚外子がいる場合などは、必ず明らかになります。それが原因で相続が揉めることは容易に想像できます。
 
また、遺産分割協議を行う上では、このような人がいる場合には必ず連絡を取る必要が生じます。それを「どのようにして伝えるか」や「連絡手段を確保しておくこと」も相続対策の一つと言えます。
 

養子縁組による親子の場合

法定相続人になりうる「血族」の定義として「血のつながりのある親戚」としましたが、養子縁組をした場合は、養子も法律上は養親の子となり、血のつながりがなくても実子と同じように法定相続人になることができます。
 
ただし、民法上の養子と相続税法上の養子では扱いに違いがあります。民法上は養子の人数に制限はありません。
 
しかし、相続税の計算をする際、法定相続人の人数が基礎控除額を増やすことにつながるほか、相続税額も圧縮することができるため、相続税法上法定相続人にカウントできるのは「実子がいない場合は2人、実施がいる場合は1人まで」になります。
 
余談になりますが、「養子縁組によって相続税対策ができる」と言われることもあります。しかし、場合によっては相続税額が増えることもあり、また、相続人が増えることはモメゴトの登場人物を増やすことにもなりかねないので、十分な検討が必要です。
 

法定相続人以外の相続人

相続人になりうる人は、法定相続人または遺言書で指定された受遺者です。
 
被相続人が遺言を残していた場合、遺言書の内容が優先されることとなっていますので、相続人以外の人に遺産が分与されることがあります。受遺者とは「遺言書によって財産が分与される人」のことを言います。
 

よくある勘違い

すでに先代は亡くなっており、その資産は下図のAとBに半分ずつ相続されています。その後、Aが亡くなった時、本家の兄であるBとしては「先代が築いた資産であり、自分にも当然相続権がある」と考えている場合があります。実際にはどうでしょう。
 
Aの法定相続人は配偶者であるCとその子G、H(第一順位)であり、A(第三順位)には相続権はありません。また、このケースで、配偶者Cがその後再婚した場合、先代から引き継がれた資産は外部に流出することになります。
 

 
昔は、先代の資産をすべてBが引き継ぐといった相続は珍しくありませんでした。
 
明治31年7月16日から昭和22年5月2日まで施行されていた旧民法では、「家督相続」という制度がありました。先代が誰か一人の相続人に全財産を引き継ぐ制度で、先代の意思で生前にも適用できる制度でした。
 
今は兄弟姉妹には平等に相続権があります。もし、被相続人Aが先代から引き継いだ資産をBやその子であるE、Fに遺そうと考えていたならば遺言書による遺贈などの方法を用いる必要があります。
 
今も、特に地方や自営業や同族経営で事業を営まれている方などを中心に「実家、家業を継ぐ」という考え方は残っています。今は家督相続の制度はありませんが、歴史のある家系ではこうした考え方が残っている場合もあります。
 

まとめ

相続対策を検討するためには、相続が発生した時の登場人物を正確に把握しておくことが重要です。考慮しておくべき人が漏れていた場合、対策そのものが無意味になります。
 
それぞれの家庭に歴史や背景、事情があり、相続が発生した場合に起こりうるトラブルにもさまざまです。相続対策では「我が家ではどういうトラブルの種があるか」を把握し、対策を行うことが重要です。
 
次回は、法定相続人間の分割割合についてお伝えします。
 
執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役
 

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