更新日: 2019.10.13 遺言書

財産のほとんどを所有している父が突然の死去。こういう時、遺言書はどうやって探す?

執筆者 : 高橋庸夫

財産のほとんどを所有している父が突然の死去。こういう時、遺言書はどうやって探す?
わが家のほとんどの財産を所有している父が突然亡くなり、葬儀やさまざまな手続きで右往左往している中、果たして「遺言書」を残しているのだろうか?との疑問が湧いてきました。遺言書の有無は、その後の遺産分割にも多大なる影響を及ぼします。
 
ここでは、主に利用される「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の探し方について、確認してみたいと思います。

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高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

自筆証書遺言の見つけ方

自筆証書遺言とは、被相続人が自筆で作成した遺言書のことをいいます。もちろん、遺言が有効となる条件としてさまざまな制約はあるものの必要な条件を満たすものであれば、安価(ほぼ無料)で比較的自由に作成することができます。
 
また、証人や公証人などの立ち会いを必要としないため、遺言書を作成していること自体も相続人などに知られずに、遺言をすることができるのも特徴の一つです。そのため、上記の事例の通り、父が突然亡くなった場合など、相続人が全く遺言書の存在有無やその保管場所を知らされていないケースも多数あります。
 
結論をいうと、この場合には「必死に遺言書を探すこと」が必要になります。まずは、自宅の中で被相続人が生前に使用していた机の引き出しや本棚、タンスなど思い当たるところを念入りに探しましょう。
 
自宅で見つからない場合には、「外部」つまり「親友」「弁護士や司法書士」など生前のつき合いの関係から可能性を探る必要があります。また、自筆証書遺言に関する注意点は以下の通りです。
 
(1)自宅や主な関係先を探しても遺言書が見つからない場合には、いったん遺言書がないものとして遺産分割協議などを進める必要があります。相続税の申告は、原則10ヶ月以内に申告と納税を終える必要があるため、あまり先延ばしにすることができません。
 
(2)自筆証書遺言については、原則「検認」という手続きが必要となるため、遺言書を見つけたとしても勝手に開封しないことが重要となります。発見した遺言書は速やかに家庭裁判所に提出し、検認の請求をしなければなりません。
 
(3)民法の相続法の改正により、2020年7月10日施行で「自筆証書遺言の保管制度」が開始されます。遺言書を法務局の保管所に保管できる制度です。保管所に保管するメリットとして、検認手続きが不要となります。
 

公正証書遺言の見つけ方

公正証書遺言とは、遺言者(被相続人)の依頼に基づき、全国の公証役場で公証人により作成された遺言です。そのため、1989年1月1日以降に作成された公正証書遺言については、「遺言者の氏名」「生年月日」「遺言の作成年月日」などの情報が日本公証人連合会に登録されています。
 
相続人等は、全国の公証役場にある「遺言検索システム」を利用して、遺言の存在有無や保管してある公証役場を探すことができます。
 
そして、公正証書遺言が存在することが判明した場合には、遺言が保管されている公証役場において、必要な書類などを持参することでその謄本を入手することができます。また、代理人が取得する場合には委任状などが必要となります。
 
公正証書遺言の場合には検認の請求は必要ありません。ただし、1989年1月1日より前に作成された遺言の場合は、遺言検索システムは利用できないので注意が必要です。
 

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まとめ

『突然亡くなった父が果たして遺言書を残していたのかわからない!』このような事態を防ぐためには、生前から家族の間で遺産の分割方法や遺言書の存在などについてしっかりと話し合い、情報共有しておくことが理想です。
 
しかし、現実の世界ではさまざまな事情から遺言書の存在を隠しておきたい場合もあるでしょう。上記の通り、自筆証書遺言は、民法改正で財産目録について自署を求めないなどの緩和措置がとられるとともに、新たに法務局での保管制度が開始されます。
 
相続とは、「次の世代にもめ事を残さないこと」ともいわれています。遺言書を残すことにによって、次の世代が争うことなどがないようにすることも親としての重要な責務です。そして、新たな制度などを活用して、相続人が迷うことなく確実に「見つけられる」遺言書といたしましょう。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー