親族が新型コロナで亡くなった…。お葬式や相続手続きはどうなる?
配信日: 2021.08.27
もし、家族や親族が新型コロナウイルスで亡くなってしまったら、葬儀や相続の手続きはどう進めていけばよいのでしょうか。コロナ禍の葬儀と相続について解説します。
※この記事は2021年8月22日時点の情報を基に執筆しています。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
新型コロナウイルスで亡くなった方の葬儀は行える?
新型コロナウイルスが原因で亡くなった場合であっても、葬儀を行うことができます。しかし、遺体からの感染リスクは低いと考えられているものの完全にゼロではなく、葬儀に参列する人が集まること自体によっても感染リスクが高まります。
そのため、個別の事情に応じて葬儀を依頼する業者と相談の上、厚生労働省や葬儀業界のガイドラインに従った内容での葬儀を執り行うことになります。平時の葬儀と全く同じ、というわけにはいきませんが、可能な限り遺族の意向に沿ったものとすることは可能です。
しかし、依頼する業者によっては安全を重要視し、ガイドラインよりも厳しい基準で葬儀が行われる場合もあります。詳細については必ず葬儀業者へ確認するようにしてください。
相続手続きはどうなる?
新型コロナウイルスが原因で亡くなった方についても、平時と同様に遺産分割などの相続手続きを行う必要があります。しかしコロナ禍においては、その影響によってさまざまな制約がかかることから次のような特例措置が設けられています。
熟慮期間の延長
基本的に相続人は、亡くなった方の権利義務の一切を受け継ぎます。しかし、プラスの財産に比べてマイナスの財産の方が大きい場合や、感情面から相続をしたくないという場合は、相続放棄や限定承認といった方法を選ぶことができます。
相続放棄や限定承認をするには、自分に相続があったことを知ってから3ヶ月以内(熟慮期間)に手続きをしなければならないのですが、新型コロナウイルスの影響で期間内に手続きができない場合、家庭裁判所に申し立てることで熟慮期間を延長することができます。
この手続きは亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行いますが、必要な書類の郵送による申し立ても可能です。詳細については申立先の家庭裁判所へお問い合わせください。
相続税の申告・納税期限の延長
相続税の申告・納税は通常、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。
しかし、相続人が新型コロナウイルスに感染するなどして、期限内に遺産分割から相続税の納付までできないような状況の場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することで、その状況が解消された日から2ヶ月以内まで相続税の申告・納税の期限を延長できます。詳細については相続税の申告先となる税務署へご確認ください。
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コロナ禍の葬儀や相続手続きは関係各所と相談して進行を
新型コロナウイルスで亡くなられた方に関しても葬儀は行えます。また、相続手続きも必要です。
しかしながら、感染拡大防止など新型コロナウイルスの影響を考慮し、葬儀については通常とは異なる制約があったり、相続手続きにおいては期間の延長など柔軟な対応がなされることがあります。
新型コロナウイルスが原因で家族が亡くなり、葬儀や相続手続きを行わなければならないことになった場合、速やかに関係各所に相談の上、慎重に手続きを進めるようにしてください。
出典
NHK 日本国内の感染者数(NHKまとめ)
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン
国税庁 新型コロナウイルス感染症に関する対応等について
法務省 新型コロナウイルス感染症に関連して,相続放棄等の熟慮期間の延長を希望する方へ
国税庁 相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続の具体的な方法
裁判所 相続の承認又は放棄の期間の伸長
国税庁 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ
執筆者:柘植輝
行政書士