更新日: 2021.09.30 贈与
毎年110万以下なのに贈与税がかかった! 気をつけたい「連年贈与」とは?
贈与税の非課税となる範囲で贈与していく際に気を付けたい連年贈与について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
贈与税の仕組みを簡単に理解する
まずは贈与税の仕組みから簡単に理解しましょう。贈与税は他人からもらった財産の金額に応じて発生する税金で、毎年1月1日から12月31日までの間に受け取った財産が110万円を超えるときに発生します。
この仕組みを利用して毎年110万円以内ずつ贈与して財産を移転すれば、時間はかかるものの贈与税を節税しながら財産を移転させることができるのです。
この方法は暦年贈与と呼ばれ、主に贈与税対策や相続税対策として利用されています。
連年贈与とは
連年贈与とは、毎年贈与を行うことであり、広い意味では毎年する暦年贈与も連年贈与に含まれます。連年贈与が110万円以下であり、たまたま毎年110万円以下の贈与が続いたということであれば、暦年贈与として非課税となるため問題にはなりにくいです。
問題となってしまうのは、この連年贈与が暦年贈与ではなく定期金給付契約(分かりやすくするために本記事では定期贈与とします)と見なされてしまう場合です。
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連年贈与が定期贈与と見なされると贈与税がかかることも
定期贈与とは、贈与する人と贈与される人の間で、総額でいくらのお金を毎年一定額ずつ、贈与していきますよという贈与契約です。
例えば、1200万円のお金を毎年100万円ずつ、12年かけて贈与していきますよといったものが定期贈与の良い例です。
この定期贈与ですが、契約をした年に定期的にお金を受け取ることができるという権利の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。つまり最初に「1200万円のお金を毎年100万円ずつ、12年かけて贈与税がかからないように贈与していきますよ」と契約をした時点で1200万円に対して贈与税がかかってしまうということになります。
同じような時期に同じような金額での暦年贈与を毎年行った結果、それが定期贈与だと見なされてしまうと、贈与税がかからないように暦年贈与をしたつもりであっても、贈与税が発生してしまい、暦年贈与の目的が果たせなくなってしまいます。
これが毎年110万円以下の非課税となる範囲で暦年贈与していたのに、贈与税が発生してしまうという原因の1つであり、連年贈与に気を付けるべき理由なのです。
連年贈与が定期贈与として見なされないようにするには?
暦年贈与として連年贈与しているものが、定期贈与と見なされないようにするには次のような点に気を付けることが必要です。
(1)定期贈与でないことの証明として毎年贈与契約書を作成する
(2)贈与の時期や金額を統一しない
(3)銀行振込で贈与したり、あえて贈与税を納付するなどして、贈与があった履歴を残す
暦年贈与によって贈与税を節税しようと考えているのであれば、上記の点を意識して定期贈与と見なされないよう注意し、きちんと暦年贈与であることを証明できるよう準備しておくべきなのです。
110万円以下の贈与なら税金が発生しないという思い込みに注意
年間で110万円以下の贈与であれば贈与税は発生しないのが原則です。しかし、連年贈与によって暦年贈与を行っていると110万円以下であっても定期贈与と見なされ、贈与税が発生することもあります。
110万円以下の連年贈与が定期贈与と見なされ、贈与税について指摘を受けないよう、気を付けて暦年贈与をしていくようにしてください。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:柘植輝
行政書士