同じ4000万円の自宅でも、「マンション」と「戸建て」で相続税が違うと聞きました。節税効果が高いのはどちらですか?

配信日: 2023.07.10 更新日: 2023.07.11

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同じ4000万円の自宅でも、「マンション」と「戸建て」で相続税が違うと聞きました。節税効果が高いのはどちらですか?
「自宅には相続税がかからない」と聞いたことはありませんか? これは、自宅の土地については、相続税を計算する際の相続税評価額を最大80%割引きしてもらえるルールがあるからです。これを適用すると、相続税の基礎控除も合わさって、相続税がかからなくなる家庭が多くなります。
 
ここまで知っている人は、「自宅の『土地』? それって戸建て限定ってこと? マンションに割引きはないの?」と思う人もいるでしょう。同じ4000万円で買った自宅なのに、「戸建てには相続税がかからない」、「マンションにはかかる」では納得できませんね。実際のところはどうなのでしょうか。解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

自宅の土地の「相続税評価額」は80%割引きになる

自宅は残された家族にとって大切な財産です。他の相続財産と同様に相続税がかかってしまっては、「自宅を相続した代わりに、相続税のせいでお金がなくなった」となり、残された家族の生活は大変になってしまいます。そこで、自宅の土地については相続税評価額を80%割引きすることで、実質的に相続税も約80%割引きになるルールが設けられています。これを「小規模宅地等の特例」といいます。
 
「自宅には相続税がかからない」といわれているのは、小規模宅地等の特例があることで自宅の土地の相続税評価額がぐっと下がるため、相続財産の総額が相続税の基礎控除額以下となり、相続税が非課税になる場合が多いからです。基礎控除額を超える場合には、自宅の土地であっても80%割引き後の20%部分には相続税がかかります。
 

なぜ土地だけなの?

80%割引きになるのは、なぜ自宅の土地部分のみなのでしょうか。それは、土地は大きく減価しない財産だからです。むしろ、場合によっては値上がりすることもあります。しかし、建物部分は新築時の評価額が最も高く、築年数の経過とともに下がっていきます。
 
そして相続が起こりやすい高齢者が所有している自宅の多くは築年数が経っており、建物部分の評価額は大したことがない場合がほとんどでしょう。大きな割引きを設けなくても、相続税に大きな影響を与えない可能性が高いのです。
 

マンションにも土地はある

マンションは部屋のみを購入しているように見えますが、実はマンションが建っている土地についても各部屋に持分が割り当てられています。これを敷地権といいます。敷地権の割合は多くの場合、壁の中心から測定した壁芯面積に応じて設定されています。要するに、大きな部屋ほど割り当てられた敷地権も大きくなるということです。
 
よって、自宅の土地部分に適用できる小規模宅地等の特例は、マンションの敷地権に対しても適用されます。戸建てとマンションで差別されている制度ではないのです。
 

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マンションの方が節税効果は薄い可能性がある

ただし、戸建てに比べてマンションの方が土地の相続税評価額が小さくなりやすい分、80%割引きによる節税効果も小さくなる可能性はあります。
 
例えば、1億円の土地に建つ50戸のマンションの場合、壁芯面積がどれも同じだとすると、1戸当たりの敷地権は単純計算で200万円です。相続税評価額200万円の80%割引き後は40万円となり、160万円減額できました。
 
これに対して戸建てはマンションに比べて土地の面積が大きい場合が多く、その分金額も大きくなるため200万円ということは少ないでしょう。相続税評価額1000万円と仮定すると、80%割引き後は200万円となり、800万円もの減額となります。
 

まとめ

小規模宅地等の特例の適用に、戸建てとマンションで差はありません。ただし、元々の土地の相続税評価額が小さくなりやすいマンションにおいては、戸建てに比べて節税効果が薄くなる可能性はあることを知っておきましょう。
 

出典

国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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