更新日: 2023.07.26 贈与
親がお盆の帰省費用「10万円」を出してくれました。何か税金に関係しますか?
ただし、帰省費用の工面については頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか。帰省先によっては、飛行機や新幹線を利用しなければならず、家族で移動するとなると10万円を超える場合もあるからです。
しかし、中には親が帰省費用を負担してくれる家庭もあるようです。非常に助かる話ですが、ふと気になるのが税金ですね。帰省費用を親にもらうことで何か税金が発生するのでしょうか。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
親からもらった帰省費用が関係する税金は「贈与税」
贈与とは財産を無償で渡す行為のことをいい、贈与税の対象になります。子どもが負担した費用を親が肩代わりしてあげる行為は、お金を無償で子どもへ渡していることから贈与に該当し、帰省費用の金額に対して本来ならば贈与税がかかることになります。
なお、保険の満期返戻金などを受け取った際には、一時所得として所得税の対象になることから、帰省費用を一時的に受け取ったお金として一時所得と思う人がいますが、それは違います。所得とは労働などの対価として受け取る報酬だからです。よって、親から「タダ」でもらえた帰省費用は所得ではなく、贈与となります。
親からもらった帰省費用に贈与税はかからない
前述のように親からもらった帰省費用は、親から子どもへの贈与であるが贈与税はかかりません。なぜなら、帰省費用として渡されたお金は贈与税がかからない財産だからです。
贈与税にはその財産の性質や贈与の目的などから見て、贈与税の対象外となる財産が定められています。その中には、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費にあてるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」との定めがあり、帰省費用はこれに該当すると考えられます。
つまり、親子間での助け合いは当然であり、親が負担した子どもの帰省費用は扶養義務の範囲内であるとして、贈与税はかからないのです。
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ただし、実費以上にもらった部分は贈与税の対象
帰省費用10万円に対して親から20万円もらった場合、実費に対して過大となる10万円部分は贈与税の対象になる可能性があるので、注意しましょう。
ただし、暦年贈与については年間110万円の基礎控除額が設けられていることから、この10万円が贈与税の対象になったとしても贈与税はかかりません。帰省費用を実費相当額ではなく、万円単位などキリのよい金額でもらう場合であっても、贈与税を気にする必要はないでしょう。
なお、既に別件で110万円の贈与を受けている場合には、その年の贈与額は120万円となるため、10万円部分に対して贈与税が発生します。
まとめ
親からもらった帰省費用は贈与ではありますが、実費部分については扶養義務の範囲内であるとして贈与税はかかりません。実費を超える部分については贈与税の対象となる可能性がありますが、基礎控除110万円以下であれば同じく贈与税は非課税です。帰省費用をもらった年に親から多額の贈与を受けている場合を除いては、税金の心配をする必要はないでしょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.1490 一時所得
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士