更新日: 2023.08.17 贈与

子どもの結婚資金に貯めた「400万円」。せっかく貯めても「税金を引かれる」って本当?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

子どもの結婚資金に貯めた「400万円」。せっかく貯めても「税金を引かれる」って本当?
結婚するときは、挙式や披露宴、新居の準備などで一時的に大きなお金がかかります。子どもの結婚に備え、コツコツと貯金している人も多いでしょう。とはいえ、貯めたお金をそのまま渡すと贈与税が発生する可能性がありますので、注意が必要です。
 
ここでは、子どもに渡す結婚資金が一定額まで非課税になる特例制度のあらましや手続きについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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子どもに110万円を超える贈与をすると贈与税が発生する

一定以上の財産を受け取ると、贈与税が課されます。ただし、贈与税には基礎控除があり、1月1日~12月31日に受け取った財産の合計が110万円以下であれば課税されません。
 
400万円をもらった場合は、400万円から基礎控除の110万円を差し引いた290万円に対して課税されます。課税対象額に決まった税率をかけ、控除額を差し引いた金額が納めるべき贈与税の額です。
 
贈与税の税率には以下の2つの区分があります。
 

一般贈与財産

兄弟間や夫婦間、親から未成年の子へなど、特例贈与財産に当たらないケースです。
 

特例贈与財産

祖父から18歳以上の孫など、直系尊属から成人への贈与です。
 
税率は、国税庁が速算表を公表しており、それを使って計算できます。親から子へ400万円を贈与した場合、課税対象となるのは基礎控除を引いた290万円です。子が18歳未満の場合と18歳以上の場合とで、課税額を見てみましょう。

・子が18歳未満の場合
一般贈与財産用の一般税率を適用。課税対象額が300万円以下の場合、税率15%・控除額10万円で、当てはめて計算すると33万5000円です。
 
・子が18歳以上の場合
特例贈与財産の特例税率を適用。課税対象額が400万円以下の場合、税率15%・控除額10万円で、当てはめて計算すると33万5000円です。

どちらの場合でも、33万5000円の贈与税を納めなければなりません。ただし、結婚資金の名目で贈与する場合、一定の条件を満たせば特例制度が適用でき、300万円まで非課税になります。
 

結婚資金が一定額非課税になる制度とは

結婚資金が非課税になる特例制度を「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(以下、結婚・子育て資金の非課税)」といいます。これは、結婚・子育て資金に充てる名目で直系尊属(祖父母や父母など)から贈与を受けた場合、1000万円まで(結婚の場合は300万円まで)非課税になる制度です。
 
なお、制度が適用されるのは、受贈者が18歳以上50歳未満の孫や子で、贈与を受ける前年の所得が1000万円以下の場合に限ります。また、この制度は2025年3月31までの期間限定です。
 

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結婚・子育て資金の非課税に関する手続き

結婚・子育て資金の非課税の特例を適用するためには、贈与者が金融機関に「結婚・子育て資金口座」を開設することが必要です。
 
受贈者は、結婚資金が必要になる都度、金融機関に払い出しの手続きを行います。また、結婚資金に充てたことを証明するため、金融機関に領収書などの提出が必要です。
 
結婚資金として認められるものには、挙式や披露宴にかかる費用、結婚後に住む新居の敷金や家賃、引っ越しにかかる費用などがあります。
 

特例を活用して課税額を減らそう

祖父母や親が孫や子に結婚資金を一括で渡す場合、何もしなければ110万円を超える金額に対して贈与税が発生します。
 
「結婚・子育て資金の非課税」の特例制度を利用すれば、300万円まで課税されません。特例制度を利用するには、贈与者が金融機関で専用口座を開設することが必要です。
 
子どもにまとまった結婚資金を支援する予定がある場合は、金融機関などで相談してみるとよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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