お墓の管理費が地味に高い……。「墓じまい」を検討すべき？

時代とともに家族構成やライフスタイルは変化するものです。先祖代々大事にしてきたお墓も「管理費が高い」と感じ、その取り扱いに悩む世帯も出てきているようです。お墓の管理費が高いと感じたとき、「墓じまい」を検討すべきなのか、考えていきます。

行政書士

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２級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、２級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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1 墓じまいを検討したことのある方は少数存在している
2 墓じまいのメリットとデメリットは
3 墓じまいを検討する際のポイント
4 まとめ

墓じまいを検討したことのある方は少数存在している

「墓じまい」と聞くと、いけないことのように感じ、マイナスイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、インターロック株式会社の「墓じまいについてのアンケート」によれば、自分の家系のお墓の墓じまいについては、30％程度の方が一度は考えたことがあるようです。理由としては、お墓の継承者問題の他、「維持・管理に困っている」というものが多数を占めています。

また、日本トレンドリサーチの実施した「墓じまいに関するアンケート」によれば、墓じまいを知っている方のうち、実際に行ったことのある方は、全体の6.8%となっています。加えて、自分が亡くなったあとに、自分が入っているお墓の墓じまいをされることについては「気にならない」と75.1%の方が回答しています。

これらのアンケート結果を踏まえると、墓じまいについて過度に後ろ向きなものとして捉える必要はなさそうです。

墓じまいのメリットとデメリットは

墓じまいを実際に行う際は、十分にそのメリットとデメリットについて考える必要があります。

墓じまいにおけるメリットとしては、金銭面含め、お墓の維持・管理にかかる手間を減らすことができる点が挙げられます。お墓に関するポータルサイト「いいお墓」の行った「第13回　お墓の消費者全国実態調査（2022年）」によれば、お墓の管理費は、平均して一般墓では年間7907円、樹木葬では6027円、納骨堂では1万1893円かかるようです。

10年お墓を管理しつづければ、10万円を超える管理費が生じる可能性もあり、それを削減できるのが一番のメリットです。また、金銭面以外でもお墓の清掃など維持にかかる負担も削減できます。

デメリットは、一時的に大きな額のお金がかかることです。「いいお墓」の調査によれば、墓じまいにかかる費用の目安は総額で35万円から150万円ほどであるようです。

これは単純にお墓を撤去することに関する費用だけではなく、取り出した遺骨を別の納骨先に移動する費用も含んだ数字です。墓じまいをする際、新しい納骨先を探すのではなく、遺骨を手元供養したり散骨したりする形にすると、墓じまいの費用を50万円以内に抑えることもできそうです。

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墓じまいを検討する際のポイント

墓じまいを検討する際は、親族間で十分に話し合いをし、理解を得た上で行うようにしましょう。お墓は親族にとって重要な意味を持つものです。親族の理解を得ず、一部の人間だけで墓じまいを行ってしまうと、感情面から親族内で対立が起こってしまう可能性もあるからです。特に散骨する選択をした場合、二度と遺骨を取り戻すことはできなくなります。

また、費用も重大なポイントです。墓じまいは、少なくとも30万円から50万円程度はかかるもの、と考えた方がよさそうなのですが、その高額な費用をどう捻出するのかも考えなければなりません。墓じまいの実行者が捻出するのか、それとも親族で出し合うのかなど、金銭的負担も問題になりやすいポイントです。

なお、墓じまいには所定の手続きが必要になります。現在のお墓の管理者との手続きに加え、お墓の存在している自治体へ、改葬の許可の申請をする必要がある点にも注意しましょう。

まとめ

墓じまいについて否定的に考える声がそう多くはない昨今、お墓の管理費が高くてつらいことを理由に墓じまいすることも、一概に悪いとはいえないでしょう。

もし、墓じまいを本気で検討しているのであれば、少なくとも30万円から50万円程度の費用を覚悟した上で、感情面にも配慮し、親族内で十分に話し合って決めるようにしてください。そうすることで、誰もが納得した状態で、罪の意識に悩まされることなく、墓じまいをすることができるでしょう。