更新日: 2023.12.21 贈与

祖母からハイブランドの指輪をもらったのですが、これは「相続」に当たりますか?

執筆者 : 柘植輝

祖母からハイブランドの指輪をもらったのですが、これは「相続」に当たりますか?
祖父母から、現金だけではなく、着物や指輪などの高価な物をもらった経験のある方も少なくないでしょう。
 
現金ではなく、贈るためにわざわざ買った物でもない、使わなくなった持ち物を祖父母からもらった場合に、それは相続に当たるのでしょうか?
 
今回は、祖母からハイブランドの指輪をもらったと仮定して、考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

祖父母から物をもらうと基本的には贈与に該当する

基本的に、祖父母から物をもらうことは贈与に該当します。贈与とは、生前に財産を誰かに与えることをいい、存命中の祖母からハイブランドの指輪をもらった場合は、相続ではなく贈与に該当することになります。
 
なお、年間110万円を超える贈与を受けた場合は、贈与税がかかります。ここでいう110万円とは、祖母からだけではなく、それ以外の者からの贈与も全部含めた額となります。
 
仮に、祖母からもらった指輪の価値が80万円だったとしても、その年に父親から現金40万円を受け取っていた場合は、合計の贈与額は120万円となるため、贈与税が生じます。また贈与税は、贈与した側ではなく、贈与を受けた側が支払うことになります。
 

その後、相続に該当することもある

贈与と近しい性質のものに、相続があります。相続とは、ある方が亡くなったときに、その方の遺産を相続人が引き継ぐことをいいます。
 
今回の例では「存命中の祖母から指輪をもらった」ため、贈与に該当しますが、これが仮に「祖母が亡くなったときに相続人として指輪を受け取った」のであれば、相続に該当します。
 
ただし、贈与の場合でも、贈与を受けてから3年以内(令和6年1月1日以後の贈与では7年以内)に贈与者が亡くなり、相続や遺贈で財産を受け取ったときは、生前に贈与された財産も相続財産と見なされ、相続税が発生する可能性があります。
 
とはいえ相続税は、基礎控除の3000万円+(600万円×法定相続人の数)までは非課税とされており、相続税が実際に発生することはそう多くありません。
 
また、祖父母から贈与を受けることはよくあっても、相続人として祖父母から財産を相続することはあまりありません。一般的には、祖父母の子(孫からすれば父母)が相続人となるからです。
 
よって、祖母からハイブランドの指輪を受け取ったとしても、それが相続に当たり、相続税が生じることは、基本的にはないと考えてよいでしょう。
 

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贈与税はどれくらいかかる?

では、贈与税が発生した場合、どれくらいの金額になるのかを考えていきましょう。
 
贈与税には110万円の基礎控除があります。そのため、その年に受け取った贈与が110万円を超えなければ、贈与税はかからず、税務署への申告や届出も必要ありません。
 
贈与税が発生するのは、110万円を超える贈与を受け取った場合です。仮に、時価180万円の価値のある指輪をもらったとしたら、180万円から基礎控除110万円を除いた残り70万円に、贈与税がかかることになります。70万円にかかる贈与税の税率は10%のため、贈与税額は7万円となります。
 
なお、贈与を現金で受け取っていなくても、贈与税は現金での納付が原則であり、申告と納税は翌年2月1日から3月15日までに全て済ますこととされています。もらった物が高価な物であれば、その後の納税資金についても考えておく必要がありそうです。
 

まとめ

祖母からハイブランドの指輪をもらった場合、その後3年以内(令和6年1月1日以後の贈与では7年以内)に祖母が死亡して、その相続人になるなどの例外的な状況でなければ、相続ではなく贈与に該当します。
 
仮に指輪が高価な物であっても、その指輪を含めた贈与の合計額が年間110万円を超えていなければ、贈与税は発生しません。贈与税が発生した場合は、翌年に申告と納税をする必要があります。詳細については、お住まいの住所地を管轄する税務署へご相談ください。
 

出典

国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税
財務省 「相続税」と「贈与税」を知ろう
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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