長男が亡くなり、兄弟姉妹の間で相続発生! 末っ子だけ母親が違う異母兄弟の場合、相続人になれる?
配信日: 2018.10.21 更新日: 2019.05.17
では、その兄弟姉妹の中に1人、母親を異にする者がいたらどうなるのでしょうか。
母を異にする兄弟姉妹は他の兄弟姉妹と同様、相続人となることができるのでしょうか。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
兄弟姉妹の間で相続発生
先日、Aさんが財産を遺して亡くなってしまいました。
両親や祖父母は既に亡くなっていたうえ、子もいませんでしたが、兄弟姉妹としてBさん、Cさん、Dさんがいました。
BさんとCさんはAさんと母親を同じくする全血の兄弟姉妹なのですが、末っ子のDさんだけはAさんたちと母親を異にする、半血の兄弟姉妹だったのです。
さて、他の兄弟姉妹と、半分しか血のつながっていないDさんは、Aさんの相続人となることができるのでしょうか。
半血兄弟も相続人となるのですが…
では、先ほどの問いの答え合わせをしましょう。
「DさんはAさんの兄弟姉妹として相続人になることができるが、その相続分はBさんたち全血兄弟に比べて2分の1となる」
これが今回の問いの答えとなります。
兄弟姉妹として相続人になることができるのに、なぜ1人だけ相続分が2分の1となってしまうのでしょうか。
その根拠は民法900条4項にあります。
民法900条4項
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。(中略)ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
少し長いので今回の事例に必要なところだけ抜き出し、わかりやすい文章にしてみます。
するとこうなります。
(1)兄弟姉妹の相続分は等しいものとする。
(2)半血の兄弟姉妹も相続人となることができるが、相続分は全血の兄弟姉妹に比べて2分の1になる。
今回の事例におけるDさんは、Bさん・Cさんとは母親を異にする半血の兄弟です。そのため、民法900条4項により、DさんはAさんの相続人となることができても、その相続分はBさん・Cさんに比べて2分の1となるのです。
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Dさんの相続分を具体的に計算してみましょう
では、Aさんの遺した財産を1000万円と仮定して、実際に各相続人の相続分がどうなるのか計算してみましょう。
Dさんの相続分はBさんCさんと比べて2分の1となるため、Dさんの相続割合を1とし、BさんとCさんの相続割合を2とします。
すると、各相続人の相続割合は次のようになります。
Bさん・・・2
Cさん・・・2
Dさん・・・1
これにより、BさんとCさんが相続財産を5分2ずつ相続し、Dさんが5分の1相続するということがわかります。
それをもとに各相続人の具体的な相続分を計算すると次のようになります。
Bさん・・・1000万円×5分の2 = 400万円
Cさん・・・1000万円×5分の2 = 400万円
Dさん・・・1000万円×5分の1 = 200万円
半血の兄弟にも相続権はあります
半血の兄弟には相続権がないと誤解されることもありますが、実際にはそうではありません。
全血の兄弟と比べて相続分が2分の1となってしまうものの、相続権を有しています。半血の兄弟は相続分が2分の1となっていることで、計算が少々複雑に感じられることもあるでしょう。
相続の際、兄弟姉妹の相続分が正確に計算できているか不安に感じたときは、専門家まで相談することをおすすめします。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士