退職金で「2000万円」もらいました。一人では使いきれず相続したいのですが、効果的な「相続税対策」を教えてください。
配信日: 2024.03.11
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続税は絶対にかかるわけではない
退職金で大きなお金が急に手に入るとなると、相続税を心配する方もいるでしょう。2000万円というお金は多大です。普通にそれだけの額の財産を築こうと思ったら、数十年単位でコツコツ貯めていく必要がある金額です。
それだけの額の財産が手元にあると「死後に相続税がかかり、子どもの負担になる」と考えることもあるでしょう。
ただし、一般的に相続税がかかるケースはそう多くなく、2000万円も財産が増えても相続税は1円もかからない、ということも珍しくはありません。なぜなら、相続税には基礎控除というものがあり、その範囲内であれば相続税が発生しないようになっているからです。
相続税がかかることを心配する場合、まずは現在の財産がどれくらいあるのか、確認するところから始めていきましょう。そしてその後、その財産の額が基礎控除の範囲内に収まるかどうか判断していきます。
相続税の基礎控除は何円?
では、相続税における基礎控除は何円となるのでしょうか。
相続税の基礎控除は非常に高額です。国税庁によると、3000万円+600万円×法定相続人の数までの範囲であれば、基礎控除の範囲内となり、非課税となるようです。そのため、少なくとも3600万円までは相続税が非課税となるわけです。
退職金以外に保有している財産や、その後の資産状況にもよりますが、上記のとおり、退職金が丸々相続財産となったとしても、なおもまだ1600万円以上の非課税枠が残っています。よほど財産を保有しているような場合でない限り、退職金で2000万円ものお金をもらったとしても、相続税について過度に気にする必要はないでしょう。
特に退職金は、年金に加えて、貯金など保有している財産だけでは不足する生活費に充てる、いわば老後資金として使われることも多いです。そういった老後の生活も踏まえると、なおのこと相続税について気にする必要性は低いと考えられます。
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「暦年贈与」で年間110万円ずつの贈与を行えば節税できる
もし相続税が発生する可能性が高い場合や、あるいは、相続税が発生した場合に備えて対策を採っておきたいという場合は、暦年贈与がおすすめです。
暦年贈与とは、他者への贈与が年間110万円までならば非課税となることを利用し、110万円ずつ子や孫などへ贈与していき、相続対象となる財産を減らして相続税を節税しようとするものです。
ただし、暦年贈与により財産を取得した人が相続によって財産を取得したら、その亡くなった方が亡くなる前の7年間に暦年贈与によって受け取った財産も、相続税に組み入れて計算する可能性が高いので注意が必要です。
仮に、2000万円を1人の子に暦年贈与していこうと思ったら、およそ19年かかります。7年間の相続財産への組み入れも考えると、26年かかります。心配であれば、早めに準備していくことが大切です。
まとめ
相続税の基礎控除は相続人の数に応じ、最低でも3600万円あります。そのため、2000万円の退職金を得たとしても、他に多くの財産を保有している場合でもない限り、相続税は発生しません。
一度冷静に、相続対象となる財産の大まかな額と、基礎控除の額を確認してみましょう。それでももし相続税が気になるのであれば、暦年贈与で毎年110万円ずつ、相続人へ財産を贈与していくといいでしょう。そうすることで、相続税が極力発生しないようにしていくことができるはずです。
出典
国税庁 No.4155 相続税の税率
執筆者:柘植輝
行政書士