更新日: 2024.03.13 贈与

祖父が大学の卒業祝い「100万円」を孫に贈与!「非課税」で渡すことはできる? 贈与の際の「注意点」についても解説

執筆者 : 小林裕

祖父が大学の卒業祝い「100万円」を孫に贈与!「非課税」で渡すことはできる? 贈与の際の「注意点」についても解説
祖父母から子どもの教育資金を受け取った際に、贈与税がかかるかどうか知っていますか?
 
本記事では、祖父が孫に卒業祝いとして100万円を渡す場合、非課税での贈与に該当するのかを解説します。ぜひ参考にしてください。
小林裕

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)

FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

【結論】今回のケースでは贈与税がかからないようにできる

結論として、年間110万円までの贈与は非課税のため、卒業祝い額100万円の今回のケースの場合、贈与税はかかりません。
 
前提として、孫の教育費など、「通常必要と認められるもの」であり、適切な対応を取っている場合においては贈与税の課税対象にはなりません。今回のケースは、「卒業祝い」としてのお金の受け渡しであるため、「通常必要と認められるもの」には該当しないように見受けられます。
 
しかし、年間110万円までは資金使途を問わずに非課税での贈与が可能であるため、「卒業祝い」という目的であったとしても問題ありません。
 
一方で、非課税での歴年贈与を行う際の注意点もありますので紹介します。
 

暦年贈与による生前贈与の加算対象期間等の見直し

そもそも暦年贈与とは、1年間(1月1日~12月31日)の贈与合計額が110万円以下の場合、贈与税が非課税となる制度を活用する贈与方法です。この方法については資金使途の制限がないため、教育以外の生活費や娯楽費などに使っても全く問題がない自由度の高いお金を贈与することが可能です。
 
この歴年贈与の注意点は、贈与をした側の人が亡くなり相続が開始した場合、一定期間分の贈与について「持ち戻し」が発生する点です。 「持ち戻し」が発生すると、亡くなる前の持ち戻し期間中の贈与額が相続財産に加算されるため、相続税の課税対象になってしまいます。
 
2023年まではこの「持ち戻し」の期間は3年間でしたが、2024年1月1日以降は段階的に7年間に引き伸ばされることが決定しています。
 
例えば2031年1月1日に亡くなった場合には、2024年1月1日以降に行った歴年贈与の金額が全て「持ち戻し」となり、相続税の課税対象となります。
 
以上の注意点を考慮した場合、祖父母から子や孫への資産移転は可能な限り早急に行うことが望ましいと判断できます。
 

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非課税枠を利用し早めの贈与を

今回は祖父母から孫への「卒業祝い」という観点において、贈与についての解説を行いました。年間110万円までの金額であれば、非課税で贈与すること自体は問題ありませんが、やはり注意すべき点はご紹介した「持ち戻し」についてです。
 
税制改正により持ち戻し期間が7年まで伸ばされることが決まっています。お金を渡す側の祖父母が高齢の場合などには、本税制改正内容について把握した上で行動する必要があります。
 
また、贈与を行う側の祖父母や両親の意思判断能力が低下してしまった場合には、贈与が認められないケースもあります。贈与を検討されている人は、可能な限り早めの行動を心がけましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
財務省 令和5年度 税制改正の大綱
 
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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