春から一人暮らしの孫に「100万円」を入学祝いとして渡そうと考えています。「現金」で一括であれば、贈与税などかかりませんよね?
配信日: 2024.03.31 更新日: 2024.04.01
今回の質問者は、現金手渡しの場合「贈与税はかからない」と思っているようですが、その判断が正しいのかを見ていきましょう。
執筆者:本条アカネ(ほんじょう あかね)
FP2級
個人からの財産贈与は110万円までは非課税となる
原則として、個人から1年間(1月1日~12月31日)で110万円を超える財産を譲り受けた場合に贈与税が課され、その課税額はもらった財産の額によって決められます。
今回、孫に贈与する金額は100万円ですので、1年間の贈与がこれだけであれば手渡しであるかに関係なく贈与税はかかりません。
また、110万円を超えた場合の贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までにしなければならないので忘れずに済ませましょう。
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合は1500万円まで非課税となる
1年間の贈与額が110万円を超えたとしても「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」の特例を利用すると、1500万円までは非課税となります。同制度の適用要件はいくつかあり、整理すると以下の通りです。
適用期間:2013年4月1日から2026年3月31日まで
受贈者(もらう側):30歳未満
贈与者(あげる側):父母・祖父母・養父母の直系尊属
金額:1500万円まで非課税
申請方法:金融機関で口座を開設し、教育資金非課税申告書を提出
直系尊属に叔父・叔母、兄・姉は含まれませんので注意しましょう。
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教育資金に該当するものは?
国税庁が公表している「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」によると、教育資金とは(1)入学金や授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学試験の検定料、学用品の購入など学校等に直接支払われる金銭、(2)習い事の費用、通学定期券代、留学のための渡航費等の交通費など、学校等以外の者に対して直接支払われるものとして、社会通念上相当と認められるもの、が該当します。
贈与税が発生するケース
非課税の適用を受けたい場合、金融機関で教育資金口座を開設し、その口座から教育資金の払い出しをする必要があります。教育資金としての払い出しは1500万円まで非課税ですが、自分が欲しいものの購入など教育資金以外での払い出しは課税対象となります。非課税措置の一例は図表1の通りです。
図表1
文部科学省 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置
一人暮らしをするための生活費は教育資金として含まれないので注意しましょう。
まとめ
本記事では、孫のために送る「入学祝い100万円」に贈与税がかかるのかを解説しました。教育費用は長期にわたり大きな額になりがちですから、非課税措置がとられるのはありがたいですね。
出典
文部科学省 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 財産をもらったとき
執筆者:本条アカネ
FP2級