更新日: 2024.05.25 贈与
4月から就職し、実家に「月10万円」入れています。年110万円以上だと「税金がかかる」と聞いたのですが、家族でもかかるんでしょうか?「生活費」なら問題ないですか?
一般的に多額の金銭のやり取りがあった場合、贈与税の対象となりますが、「実家に入れているお金」はどう解釈されるのでしょうか。
本記事では年間110万円以上を実家に入れている場合、贈与税がかかるのかについて解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
年間110万円を超える金銭の授与は贈与税の対象に
基本的に年間110万円を超える贈与があった場合、贈与税の対象となります。この「年間」とは1月1日から12月31日までの1年間のことを指し、この期間内に110万円を超える贈与があると贈与税を支払う必要があるのです。
また、この贈与は親子間でも成立するので、親から子どもあるいは子どもから親へ贈与があった場合でも、例外なく贈与税が課せられます。なお贈与税は「受け取った側」に納税義務が生じるので、今回のように子どもが家に入れているお金が課税対象となる場合は、親が贈与税を支払うということになります。
生活費として入れている場合は贈与税の対象外
年間110万円を超える贈与があっても課税対象とならないことがあります。今回のように贈与の目的が「生活費」の場合もそのひとつです。
国税庁では「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は「贈与税がかからない財産」として、贈与税の対象から除外しているからです。
ここでいう「生活費」は、通常の日常生活に必要な費用のことで、食費や光熱費だけでなく自身や親の病院での治療費、きょうだいがいる場合は教育費など、その家族にとって必要な費用を含んでいます。
そのため「実家に入れているお金」が年間で110万円を超えていたとしても、必要な生活費や教育費として充てるためのお金であれば、贈与税の対象とはならないのです。
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使用用途によっては贈与税がかかることも
「生活費」として実家に入れているつもりでも、親が違う用途でそのお金を使っている場合には注意が必要です。国税庁が定める贈与税がかからない財産は、あくまでも生活費や教育費等に充てるためのものに限られています。
つまり、子どもは生活費や教育費のつもりで贈与をおこなっていても、それを親が預金したり、株式や不動産などの買入資金に充てたりしている場合には「生活費」とみなされず贈与税がかかることになるのです。
子どもが家に入れたお金を、親が子どもの「結婚資金」や「1人暮らしの費用」として貯金しているというケースはよく聞く話ですが、場合によっては贈与税の対象とみなされることがあります。貯金する場合は年間で110万円を超えない額にしておくのが無難でしょう。
まとめ
子どもが実家にお金を入れる場合、年間110万円を超えていても「生活費」として使われていれば贈与税の対象とはなりません。ただし、生活費を明らかに超えている額の贈与や、生活費以外の使用をしていると、贈与税の対象となることもあるので注意しましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級