年収400万円で「注文住宅」の購入は厳しいですか? 父が「1000万円までなら非課税だから」と援助をしてくれるのですが、それなら“3000万円”の住宅を購入しても問題ないでしょうか?
配信日: 2024.07.25
そこで本記事では、親から1000万円の援助があれば、3000万円の注文住宅を購入することが現実的かどうかについて解説します。
執筆者:渡邉志帆(わたなべ しほ)
FP2級
注文住宅購入者の世帯収入は?
国土交通省の調査によると、注文住宅を購入する世帯の多くは年収600万円以上となっており、年収400万円未満の購入者は約10%にとどまっています。
同調査によると、年収400万円台の世帯では、分譲戸建住宅や中古住宅を選ぶ傾向が強いようです。しかし、住宅ローンや親からの資金援助を活用すれば、注文住宅の購入は不可能ではありません。
注文住宅を建てるための資金はいくら必要?
「2022年度フラット35利用者調査結果」によると、住宅購入の平均所要資金は次のとおりです。
注文住宅(土地なし):3717 万円
土地付注文住宅: 4694 万円
高額に感じる人もいるかもしれませんが、これはあくまで平均値であり、実際の予算は地域や土地の条件、建物の仕様によって大きく異なるでしょう。
例えば、地方に土地を持っている場合や、親族から土地を譲り受けることができる場合には土地代がかからず、建物の予算だけで済むケースもあります。建物の規模や仕様を見直すことでコストダウンを図ることもできるでしょう。
住宅購入を考える場合、年収の何倍まで住宅ローンを組めるかを示す「年収倍率」を目安にすると良いとされています。同調査によると、注文住宅の年収倍率は次のとおりです。
注文住宅 :6.9倍
土地付注文住宅: 7.7倍
年収400万円の場合、注文住宅を建てるなら2760万円、土地付注文住宅を建てるなら3080万円までが目安です。しかし、これでは必要な住宅資金額に届かないため、家族の援助などが必要になる可能性があります。
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親からの1000万円の援助に贈与税はかからない?
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置により、2026年までは省エネ等住宅であれば、最大1000万円まで非課税で贈与を受けることができます。ただし次に示すような、いくつかの条件を満たす必要があります。
・贈与者は、受贈者の直系尊属(父母、祖父母等)であること
(配偶者の父母や祖父母は、養子縁組をしていない限り直系尊属には該当しない)
・受贈者は、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
・贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下であること
(家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は1000万円以下)
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに当該住宅に居住すること 等
この制度を活用すれば、年収400万円でも3000万円以上の注文住宅を購入できる可能性が高まります。親からの1000万円の援助は、頭金として大きな役割を果たすでしょう。贈与税もかからないため、プレゼントとして受け取ることができます。頭金が多ければ、年収が低くてもローンを組める可能性が高まるでしょう。
親から土地を譲り受けた場合は、土地なしの注文住宅の平均所要資金は3717万円のため、1000万円を差し引いた2717万円の負担でよいことになります。
35年ローンを組んだ場合、年間約77万円の返済となり、月額にすると約6万4000円です。所得税の住宅ローン控除の適用を受けられれば手取りの給与額も増えるため、無理のない返済額と感じる人も多いのではないでしょうか。
まとめ
年収400万円でも注文住宅の購入は夢ではありません。親からの資金援助は住宅購入の目的であれば非課税となるため、大きな助けになるでしょう。重要なのは、自分の収入に見合った計画を立てることと、親からの援助がある場合は有効な制度を知り上手に活用することです。
出典
国土交通省 住宅局 令和4年度 住宅市場動向調査報告書
独立行政法人住宅金融支援機構 2022年度 フラット35利用者調査
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:渡邉志帆
FP2級