更新日: 2024.09.12 贈与
母から孫に「来年大学生になるから」と、300万円もらいました。税金を払いたくないので“自宅で保管”しておきますが、大丈夫ですよね…?
とても助かりますが、親族間の金銭の受け渡しでも「贈与税」がかかる可能性があります。なかには、銀行を経由すると贈与税がかかると考え、もらったお金をタンス預金として自宅で保管する人もいるかもしれません。この対応で問題がないのか、本記事で解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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親族間の贈与でも年間110万円を超えると贈与税がかかる
贈与税とは、個人から財産をもらった時に、受け取った人がもらった財産に応じて支払う税金です。贈与税には基礎控除の110万円がありますので、110万円以下の贈与であれば、贈与税は非課税です。
一方、タイトルのように300万円を受け取った場合、基本的には110万円を超える部分については贈与税が発生します。
贈与税はタンス預金でも銀行に預けても同様の扱い
贈与税は財産を受け取った人が負担する税金です。そして、もらったお金の管理方法が銀行でも、自宅でも、現金でも扱いに変わりはありません。そのため、「銀行に預けて贈与税を支払うのが嫌だから自宅で現金で持っておこう」という考えは間違いです。
また、税務署は税金徴収のため、個人の資産の流れをある程度把握しています。銀行に預けずに自宅でタンス預金として保管していたとしても、後々贈与税を逃れるために現金で保管していることが税務署に知られ、加算税などのペナルティが課される可能性があります。
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タンス預金には盗難や災害などのリスクもある
そもそも、タンス預金には盗難や災害などで失われるリスクがあります。
家に多額の現金があることが他人に知られると、振込詐欺の標的などになってしまうかもしれません。詐欺以外にも、保管場所がもれて盗難にあう可能性もあるでしょう。
また、火事や地震、台風などの災害でタンス預金が消失してしまった場合、そのお金は原則として火災保険や地震保険では補償されません。盗難や詐欺、災害などへの対応としては、タンス預金よりも金融機関に預けた方が安心だといえるでしょう。
教育資金は非課税制度がある
親族間の贈与でも年間110万円を超えると贈与税がかかりますが、贈与税にはさまざまな非課税制度が設けられています。
例えば、「教育資金」については、2026年3月31日までの間に30歳未満の人(前年の合計所得金額が1000万円以下の場合のみ)に対して直系尊属(祖父母など)が教育資金を贈与した場合、所定の手続きをすることで最大1500万円まで贈与税が課税されません。
そのため、今回のケースの様に300万円を贈与された場合に、そのお金を入学金や授業料などのために使えば、所定の手続きをすることにより贈与税を非課税にすることが可能です。
まとめ
親族間の贈与でも年間110万円を超えると贈与税がかかりますから、300万円を親からもらった場合には贈与税を負担する必要があります。そして、贈与税逃れのためのタンス預金は間違いです。
また、タンス預金には窃盗や災害などで失われるリスクもあるため、タンス預金をする場合にはリスクを認識しておく必要があります。一方、親族間の贈与については本記事で紹介した「教育資金」のような非課税制度を活用することで、贈与税を節税できる場合もあります。
支払うべき税金は負担するとともに、活用できる非課税制度はしっかりと利用しましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー