更新日: 2024.09.15 贈与

夏休みに実家に帰ったとき、親から「孫2人分の将来の学費に」と200万円もらいました。1人につき100万円なら“贈与税”はかからないですよね?

夏休みに実家に帰ったとき、親から「孫2人分の将来の学費に」と200万円もらいました。1人につき100万円なら“贈与税”はかからないですよね?
夏休みに帰省した際、「孫のために」と親からまとまったお金をもらうこともよくあるようですが、日本では一定額以上の財産を譲り受けると贈与税がかかります。
 
一般的には年間110万円以内の贈与であれば贈与税はかからない、と耳にしたことがある人もいるでしょう。それは正しいのですが、自分の子ども1人につき100万円の贈与であっても、一括してもらうと贈与税が発生するかもしれません。
 
本記事では自分の子ども2人分の学費として100万円ずつ、合計200万円をもらったケースを例にしながら、贈与税について解説します。
浜崎遥翔

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

年間110万円以内の贈与には贈与税はかからない

贈与税は1年間に譲り受けた財産の金額に応じて課税される税金ですが、年間110万円の基礎控除があります。贈与を受けた財産の金額が1年間に110万円以内であれば、贈与税がかからないのです。
 
つまり、今回のケースのように自分の親が孫2人に100万円ずつの贈与を行い、孫が年内にほかの贈与を受けていない場合、贈与税はかかりません。
 

200万円の贈与が自分へのものとみなされると贈与税がかかる! 対策は?

孫2人に100万円ずつの贈与であれば贈与税はかかりませんが、これが「自分への200万円の贈与」とみなされると、110万円を超える贈与となり、贈与税が発生します。
 
200万円の贈与を受けた場合の贈与税は9万円で、翌年の3月15日までに納めなければなりません。
 
では、200万円が自分の子ども2人への贈与とするためにはどうすれば良いのでしょうか? そのためには、贈与が成立するための3要件を理解することが大切です。

(1)贈与者に「あげた」という意思があること
(2)受贈者に「もらった」という認識があること
(3)もらった人がもらった財産を管理・支配していること

自分の親から自分の子どもへの贈与において、やるべきこと、やってはいけないことを整理していきましょう。
 

自分名義の口座に200万円を入れてそのままにしている場合

自分の親からもらったお金を、自分名義の口座に入れてそのままにしておいた場合、贈与税がかかる可能性が高いでしょう。
 
自分名義の口座に入っているお金を、自分の子どもが管理・支配していると主張するのは難しく、自分への贈与とされてしまう可能性が高いからです。子どもへの贈与としたいのであれば、子ども名義の口座で管理しましょう。
 

孫の口座に直接振り込んだとしても安心できない理由

では「自分の親が孫名義の口座に直接振り込めば安心」と思うかもしれませんが、それも違います。前記した贈与の条件を満たしていない可能性があるからです。
 
いわゆる名義預金(口座名義人と財産の所有者が異なる預金のこと)とみなされ、自分への贈与と認定されれば贈与税が発生します。これを回避するために前記の(2)と(3)を客観的に示せる証拠を残しましょう。
 
(2)に関しては、孫に贈与があったことを知らせた上で、贈与に関する契約書を残しておくことが有効です。
 
また、(3)を満たすためには、孫が口座の存在を知っている必要があります。親権者には子どものお金を管理する権限があるため、全てを子どもの自由に使えるようにする必要はありませんが、親が管理・監督した上で、お金の使い方の勉強を兼ねて口座のお金の一部を自由に使わせるなどすると良いでしょう。
 
最終的な判断は税務署が個別に行うため絶対はありませんが、対策をするに越したことはないはずです。
 

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贈与税がうっかり課税されないように注意が必要

贈与を受けるときには、同じ金額であってももらい方によって贈与税がかかる場合があるので注意しなければなりません。
 
今回のケースで大切なのは、自分の子どもが「もらった認識があること」と「もらったお金を自分の子どもが管理・支配していること」を客観的に示すことです。自分への贈与とみなされて、のちに贈与税の未払いと認定されないよう、対策をしておきましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
e-Gov法令検索 民法
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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