結婚20年、夫が私の口座に「生活費」を振り込んでくれていますが、夫婦間でも「贈与税」の対象になるって本当ですか? 年間110万円を超えると“課税”されるのでしょうか…?

配信日: 2024.09.23

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結婚20年、夫が私の口座に「生活費」を振り込んでくれていますが、夫婦間でも「贈与税」の対象になるって本当ですか? 年間110万円を超えると“課税”されるのでしょうか…?
夫婦が生活をしていくにはお互いの協力が必要です。家事や育児の分担、生活費の捻出などそれぞれの夫婦によってスタイルは異なりますが、生活費は夫婦のどちらかがまとめて管理しているということも多いでしょう。
 
夫が「生活費」として一定の額を毎月妻に振り込んで、妻がこのお金を管理している場合、この生活費は「夫から妻への贈与」となります。このような「生活費」に「贈与税」はかかるのでしょうか。「夫婦のお金に贈与税がかかるなんて聞いたことがない」という人もいるかもしれません。
 
本記事では夫婦の生活費と贈与税の関係について解説します。
渡辺あい

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)

ファイナンシャルプランナー2級

贈与税の対象となる贈与とは

贈与税の対象となるのは、1月1日から12月31日までの1年間で110万円を超える贈与があったときです。夫婦や親子の親族間であっても、赤の他人同士であっても、要件を満たしていれば贈与税の対象となります。つまり、夫から妻に年間110万円を超える財産を渡しているのであれば、原則として贈与税の対象となるのです。
 

生活費に贈与税はかかる?

年間110万円を超える贈与は贈与税の対象となりますが、その贈与の目的によって贈与税が免除されるものがあります。そのひとつが「生活費」です。夫婦や親子、兄弟姉妹など、扶養義務者から「生活費」として直接支払うために振り込まれた費用については、贈与税の対象となりません。
 
国税庁が定める「生活費」とは、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、食費や家賃のみでなく、病気やけがの治療費や子育てに関する費用・教育費なども含まれます。そのため、振り込まれたお金をこれらの生活費に充てていれば、目的内の使用であり、贈与税はかかりません。
 
しかし、余ったお金を妻がへそくりとして預金したり、投資に充てたりした場合は、「生活費として使っている」とは言えないので、贈与税の対象となります。とはいえ、目的外で使用していたとしても、年間の総額が110万円までであれば、そもそも贈与税の対象とならないので、目的外使用が毎月少額であれば贈与税を支払う必要はないといえるでしょう。
 

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「おしどり贈与」とは

夫婦間であっても、高額の財産の贈与は基本的に贈与税の対象となります。しかし、例外的に婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産やその不動産を取得するために金銭の受け渡しがおこなわれた場合は、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで配偶者控除をすることができます。
 
ただし、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された不動産に住みはじめ、その後も住み続ける意思があることが必要です。この贈与の特例は20年以上婚姻関係を継続した夫婦にのみ適用されるので、「おしどり贈与」と呼ばれることがあります。
 

まとめ

夫婦間の贈与であっても、基本的には贈与税がかかりますが、その贈与の目的が「生活費」であれば贈与税の対象にはなりません。ただし、「生活費」として受け取っている贈与を、110万円を超えて預金や投資などの目的外使用した場合は、贈与税の対象となることもあるので注意しましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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