更新日: 2024.09.25 相続税

妹だけを過保護に育ててきた母親。父が亡くなり「あの子は頑張っているからお金を多くあげたい」と言うのですが、私は正当に相続されないのでしょうか?

妹だけを過保護に育ててきた母親。父が亡くなり「あの子は頑張っているからお金を多くあげたい」と言うのですが、私は正当に相続されないのでしょうか?
50代の会社員です。私には5つ下の妹がいます。母親は幼少期から妹を過保護に育ててきて、何かにつけて「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われてきました。
 
先日父親が亡くなり相続の話になったのですが、母親が「あの子はいつも頑張っているからお金を多くあげたいの」と言います。私は正当な相続をされないのでしょうか? 妹とは仲は悪くないので、あまり大ごとにしたくないです(50代会社員Aさん)。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

遺産分割は、全員の合意が必要

相続が開始されたら、遺産の確認、遺言書の有無を確認しましょう。「誰に何を渡すのか」、有効な遺言書により遺産の行き先が決まっている場合は、原則としてそれに従います。
 
もし、遺言書がない場合など、遺産の行き先が決まってないものについては、法定相続(民法で定められた、相続人になる人の範囲、順位)となります。相談者さまに他に兄弟姉妹がいらっしゃらなければ、相談者さまと妹さま、お母さまの3人が法定相続人です。念のため、お父さまの戸籍をさかのぼり、他に子どもがいないか(認知事項や異母兄弟)を確認しましょう。
 
相談者さまに他に兄弟姉妹がいらっしゃらなければ、相談者さまと妹さま、お母さまの3人が法定相続人です。念のため、お父さまの戸籍をさかのぼり、他に子どもがいないか(認知事項や異母兄弟)を確認しましょう。
 
遺言書がない場合、相続人全員で、遺産をどのように分けるかを話し合います(遺産分割協議)。その際に目安となるのが、民法で定められた割合で分ける法定相続分です。ただし、絶対に法定相続分で分けなければならないということではなく、遺産分割協議で相続人全員が合意する場合は、法定相続分でなくても構いません。
 
よって、お母さまが妹さんに多く渡したいと言ってきても、相続人全員の合意がなければ成り立ちません。Aさんが納得できない場合、合意しなければ遺産分割協議は成り立ちません。
 

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法の力を借りることも必要

遺産分割協議で相続人の合意が難しい場合、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てることができます。話し合いがまとまらず調停が成立しなかった場合は、自動的に審判になります。
 
ただし、相続税の申告は、相続が開始(自分が相続人であることを知った日)から10ヶ月です。間に合わない場合は、法定相続分でいったん申告して、分割ができたときに「修正申告」・「更正の請求」をします。
 
法定相続割合での分割になった場合、今回のご相談は配偶者と子の相続です。配偶者2分の1と子が2分の1で、おふたりで均等に分けます。よって、お母さまが2分の1、相談者さま4分の1、妹さん4分の1です(他に兄弟姉妹がいれば兄弟姉妹全員で遺産の2分の1を均等割します。ただし、片親のみ同じ半血兄弟姉妹は全血兄弟姉妹の2分の1です)。
 
また、民法には「遺留分」が決められています。相談者さまは相続人が受け取れる分の最低保障のようなものです。相談者様の場合法定相続分の2分の1の8分の1が遺留分となります。遺言書がある場合の相続分が、遺留分より少ない場合、「遺留分減殺請求」を家庭裁判所に申し立てることができます(出典:法務局「法定相続分(範囲・順位・法定相続分・遺留分)」)。
 

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理不尽な要求はのまなくていい

ことあるごとに、お母さまから「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」という理不尽な要求をされ続けたAさん。そのAさんに対し、「あの子はいつも頑張っているからお金を多くあげたいの」と、妹さんをひいきする言葉を投げかけるお母さま。いつも我慢させられたお兄ちゃんに対して言う言葉でしょうか。
 
これらのことから、もしかしたらこれまでも何かにつけて妹さんにお金を渡していたように思えます。そのところをしっかり確認しましょう。もしも、妹さんだけ特別にもらっていたのなら、特別受益の持ち戻しとなり、もらっていた分を相続財産に加算して。正確な相続財産額を確定しましょう。もちろん、自分がもらったものがあれば同様です。
 
大ごとにしたくないというお気持ちは分かりますが、公の場で第三者に公平に分けてもらうことが、一番納得できる分け方になるのではありませんか。
 

出典

法務局 法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
裁判所 遺産分割調停手続きのご利用にあたって
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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