更新日: 2024.10.04 贈与
子どもが生まれ車の購入を悩んでいたら、義父から「10年落ちくらいのシエンタがある」と言われました。「普段は誰も使わない」とのことですが、そのまま使って大丈夫ですか? 税金はかかるのでしょうか?
本記事では、家族から「実家に10年落ちくらいのシエンタがあるけど使う?」などと提案されたケースを想定します。実際に使用する場合は、事前に自治体に申告する必要があるのか、注意すべき点はあるのか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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親から車をもらうと贈与税の対象となることがある
たとえ普段は全く使っていなかったとしても、車を親からもらうと場合によっては贈与税がかかることがあります。
贈与税は一般的に1年間に受け取った贈与財産価額を合計して、基礎控除を差し引いた金額に税率を乗じて計算されます。贈与税額の計算には2種類ありますが、一般贈与財産用の税率を適用すると、例えば基礎控除後の課税価格が200万円だと20万円の贈与税が発生します。
義父から「10年落ちくらいのシエンタ」を贈与される時点で、その車の価値がどのくらいあるかで贈与税の課税有無が決まります。車の価値が110万円以下であれば贈与税はかかりません。具体的な価値を把握したい場合は、シエンタを中古車買取店に持っていって「もし売却したらいくらになるのか」査定してもらいましょう。
トヨタ認定中古車サイトで「2015年頃のシエンタ」を検索すると、支払総額150万円前後の車が出てきます。実家に置かれていたシエンタの価値が145万円と仮定すると、基礎控除後の課税価格は35万円となり、3万5000円の贈与税を納付しなければなりません。
中古車の価値は車種や年式、走行距離、車の修理履歴や状態などによって変化します。将来的に税務調査を受ける可能性もゼロではないため、査定内容は確定申告の書類や領収書などと同様にしっかり保管しておきましょう。
自動車の所有者の名義変更をする場合は、移転登録申請書や譲渡証明書、新旧所有者の印鑑証明書などの必要書類を用意する必要があります。それらを準備したうえで管轄の運輸支局などに提出しましょう。
名義変更せずに車を使う方法もある
家族が所有している車を、名義変更せずに無料で使用する方法もあります。賃料が発生しない貸し借りは法律上「使用貸借」といい、民法593条で規定されています。「相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生」じ、贈与ではないため課税されません。
ただ、実際に使用している人は子どもであっても車検証に登録されている所有者は義父です。そのため、事故が発生すると、自動車損害賠償保障法3条にも規定されているとおり貸主にも運行供用責任が発生します。万一の際は義父に損害賠償請求が行われるリスクもあるため、任意保険への加入や適用条件を必ず確認しましょう。
保険の適用条件で、運転者対象が「本人のみ」となっていたり、運転者対象年齢が限定されていたりすると、親の車で事故が発生した際に保険適用外となってしまう可能性もあります。車の所有者だけでなく使用者も対象となっているか保険内容を確認したうえで、契約内容を変更する場合は義父に依頼してください。
自動車税は、所有者に納税義務があるため義父に納付書が送付されます。もし、使用者が実際に納付する場合は、納付書を転送してもらったり納税金額を渡したりするなど、当事者間であらかじめ相談しておきましょう。
自治体などへ事前申告する必要はありませんが、トラブルを避けるためにも、家族間であっても以下のような「使用貸借契約書」を交わすことをおすすめします。
●車種や登録番号など義父が貸し出すシエンタの詳細
●契約期間
●使用目的(自己使用など)
●車の必要経費や万一の際の損害費用の負担割合
上記のような契約書を作成することで、当事者間のトラブル防止だけでなく、もし税務署などの調査が入っても説明することができます。
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まとめ
本記事では、家族から「普段使っていない車」を譲ってもらえることになったら、使う前に申告しなければならないのか、贈与税などの経済的負担は発生するのか解説しました。
一般的には、よほどのことがない限り新車を購入するより経済的負担を抑えられるケースが多いと思われます。ただし、車の状態によっては想像以上に修理代やメンテナンス代がかかり、かえって費用がかかる可能性もあるので事前に確認しておきましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
トヨタ自動車株式会社 トヨタ認定中古車
国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト 売買等により譲渡、譲受する手続き
e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 自動車損害賠償保障法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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