更新日: 2024.10.19 その他相続
ある日「腹違いの妹」から父の遺産について連絡が! 母が離婚して3歳から会っていないけど、自分にも「相続権」はあるのでしょうか?「親の離婚・再婚・異母きょうだいがいる場合」について解説
このように長年疎遠だった親がいる場合、その遺産の相続権はどうなるのでしょうか。また親の再婚によって生まれた「腹違いのきょうだい」がいる場合は、遺産分割はどうしたらいいのでしょう。
本記事では、親の離婚・再婚・異母きょうだいがいる場合の遺産の相続について詳しく解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
相続の基本
相続が発生した場合、「親族」「肉親」だからといって、すべての人が相続人になるわけではありません。死亡した人に配偶者がいた場合、配偶者は常に相続人となります。
配偶者以外で相続人になるには優先順位があり、子、直系尊属(父母や祖父母)、兄弟姉妹の順序で相続人になります。また、法律で定められている遺産分割は亡くなった人と相続人との関係性によって割合が変わります。
仮に亡くなった人の遺産が2000万円で、家族は配偶者と子ども2人だったとしましょう。この場合、条件を満たせば全員が相続人となります。遺産分割は配偶者が半分の1000万円、子どもは全体の半分をきょうだい2人で均等に分けることになるので、それぞれ500万円ずつとなります。
親が再婚している場合
今回のケースのように親が離婚後に別のパートナーと再婚している場合、再婚相手が現在の配偶者なので、相続人となります。
ただし、あくまでも「戸籍上の配偶者」であることが必要なので、内縁関係の人は相続人に含まれません。仮に夫婦同然に生活をしていても、婚姻届を提出していなければ相続人になることはできないのです。
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「異父」「異母」きょうだいがいた場合
子どもは配偶者に続いて相続人となることができ、その条件は親の離婚・再婚を問いません。亡くなった人の子どもであれば、相続人となります。しかし、「きょうだい」が再婚相手の連れ子である場合は、法定相続人になるには養子縁組が必須です。
「疎遠」でも相続人になれるのか
親が離婚していても「親子関係が断絶」していなければ、法定相続人となることができます。
この「親子関係の断絶」とは、具体的に「養子縁組の解除」、被相続人に対して被害を加えたり相続について詐欺等を行ったりしたことによる「相続欠格」、事前に被相続人が家庭裁判所を通じて相続権を剥奪している「相続廃除」が該当します。
つまり、単なる「疎遠」ではこれらの項目に該当しないため、今回のケースでは相続権は維持されているとみなされるのです。
また、親と疎遠になっていたことにより、親の死と相続が発生したことを知らなかった場合でも、相続が発生したことを知ってから申し立てをすれば遺産を受け取ることができます。なお、相続放棄・限定承認をする場合は、相続の発生を知ってから3ヶ月以内に手続きをする必要があります。
腹違いのきょうだいと遺産をどう分ける?
先ほども解説した通り、たとえ腹違いのきょうだいであっても、平等に相続人になることができます。また「きょうだい」である以上、遺産の法定相続割合は変わりません。
今回のケースで仮に父の遺産が1000万円の場合は、再婚相手が500万円、自分と「腹違いの妹」はそれぞれ250万円ずつ分割することになるのです。
まとめ
基本的に親が亡くなった場合、その子どもは法定相続人となることができます。たとえ親の離婚で何年も疎遠になっていても、相続権がなくなることはありません。ただし、遺産分割の割合は、親が亡くなったときの戸籍上の家族関係によって変わることも覚えておきましょう。
出典
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
e-Gov法令検索 民法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級