更新日: 2024.11.29 贈与
車の免許を取得した娘から「N-BOX」が欲しいと言われました。価格が「120万円」以上しますが、親が買い与えた場合、贈与税はかかりますか?
そこで本記事では「N-BOX」を購入し買い与えた場合、贈与税がいくらかかるかをシミュレーションしていきます。また、贈与税を最小限に抑える方法や贈与税がかからないケースも見ていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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贈与税の基礎控除と計算方法
早速結論ですが、120万円以上の車を買い与えた場合、贈与税が発生します。贈与というと現金をイメージする人が多いかもしれませんが、車や貴金属、高級腕時計なども贈与に当たります。
贈与税には、毎年一定の金額まで非課税で贈与ができる「基礎控除」があり、具体的には1年間に110万円までは贈与税はかかりません。
Honda公式中古車検索サイトでは、中古の「N-BOX」の2023年モデルは支払総額が136万~252万円ほどです(2024年11月1日現在)。今回はこの価格の範囲内でシミュレーションしていきましょう。
計算方法はシンプルです。贈与金額から基礎控除の110万円を差し引き、残りの金額に対して税率がかかります。例えば120万円のN-BOXを贈与する場合、120万円−110万円=10万円が課税対象額となり、その額に応じて税率が適用されます。
図表1
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) より筆者作成
図表1は「特例贈与財産」の速算表です。贈与税は「特例贈与財産」と「一般贈与財産」の2つに区分され課税されますが、特例贈与財産は祖父母や父母ら直系尊属から18歳以上の孫・子への贈与財産です。それ以外のケースは一般贈与財産にあたります。
「N-BOX」贈与税のシミュレーション
車の贈与税がどのように計算されるのか、具体的に見ていきましょう。まず、N-BOXの価格が136万円の場合を考えます。この場合、贈与税の基礎控除110万円を差し引いた「26万円」が課税対象額になります。10%の税率を適用すると、贈与税は26万円×10%=2万6000円と算出されます。
次に、N-BOXが252万円だった場合を確かめます。この場合、252万円−110万円=142万円が課税対象額となり、こちらも税率は10%です。よって、142万円×10%=14万2000円となります。
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車の贈与税を抑える方法
ここまで贈与税の基本的な内容についてお伝えしましたが、いくつか工夫をすれば贈与税を抑えることや、回避することは可能です。ここでは3つ紹介します。
1.親が車の所有者になり子どもに使用させる
親が車を購入し、子どもに使用させる方法です。名義も親のままにしておけば贈与とは見なされず、贈与税が発生しません。任意保険については、子どもが運転することを保険会社に伝え、補償範囲を適切に設定する必要があります。
2.一定期間使用したのち、中古車として譲り渡す
親がしばらく車を使用した後、子どもに譲る方法です。譲る車が中古車となり、時価が下がると贈与税を抑えることができます。
3.現金を渡し購入をサポート
110万円までは非課税で贈与が可能なので、親が子どもに110万円を渡し、残額を子ども自身が負担する方法です。車は子ども名義で購入してもらい、購入費の一部を負担することで贈与税を回避できます。
車の贈与税がかからないケースもある
子どもが生活をする上で車が必要不可欠だった場合、扶養義務者である親が、扶養の一環で車を買い与えるのであれば、贈与税の対象にはなりません。
例えば、公共交通機関が不便な地域に住んでおり、子どもの通学などに支障が出る場合などです。移動手段で車が必要不可欠であれば、子どもの生活を支える上で親が購入した場合が該当します。
ただし、高級車は嗜好品と見なされ生活に必要不可欠とはいえません。また、交通機関が充実している都市部住まいの場合も、生活に欠かせないものとはいえず、贈与税の対象になる可能性があります。
まとめ
120万円程度のN-BOXを買い与えるのであれば、贈与税は1万円程度です。これくらいであれば必要以上に心配しなくてもいいでしょう。万が一高額であったとしても、贈与税を抑えたり、回避したりする方法も存在します。状況に応じた対策をとり、親子で安心して車を利用できるよう計画を立てましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー