先日母が亡くなりました。生命保険金「1000万円」の受取人が私になっていたのですが、税金はかかるのでしょうか?
配信日: 2024.12.15
しかし、保険金は受け取った方に対して税金が課されます。保険の状況に応じて課される税金の種類が変わるため、受け取った際には確認が必要です。今回は、保険金にかかる税金の種類や税額の例などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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死亡保険金は保険料を支払った人と受け取っている人が誰かで税金の種類が変わる
生命保険に加入していた方が亡くなると、受取人となっている人に保険金が支払われます。保険金も課税対象ですが、加入中の状況と受け取った人物によって課税される税金の種類が異なるため、注意が必要です。
国税庁によると、加入していた方や保険料を払っていた方、保険金を受け取った方によって、税金の種類は表1のように変わります。
表1
加入していた方 (亡くなった本人) |
保険料を払っていた方 | 保険金を受け取った方 | かかる税金の種類 |
---|---|---|---|
A | B | B | 所得税 (一時所得または雑所得) |
A | A | B | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」を基に筆者作成
例えば、生命保険に加入していた母親が亡くなったとしましょう。この生命保険料を子どもが支払っており、受取人も子どもだったときは、子どもに対して所得税がかかります。一方、保険料も母親自身で負担しており、子どもが受け取ったときは相続税の課税対象です。
さらに、母親が生命保険に加入しており、保険料の負担は父親、受取人が子どものときは、父親から子どもに贈与があったことになり、子どもが贈与税を支払う必要があります。
保険金の相続は一定金額まで非課税として扱われる
受け取った保険金が相続扱いになる場合、一定金額までは非課税として扱われるため、相続人である子どもが受け取る際に税金負担を軽減できます。国税庁によれば、非課税になる金額は「500万円×法定相続人数」です。
例えば、子ども1人が法定相続人で保険金を受け取ったとしましょう。保険金はみなし相続財産となり非課税限度額は「500万円×1人」で500万円です。さらに、相続財産の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」なので、子ども1人が該当するときは3600万円になります。
相続税の計算をするときは、相続財産全体から保険金(みなし相続財産)の非課税額500万円を差し引いて正味の遺産額を算出し、そこから基礎控除額3600万円を引いた金額が課税対象です。
保険金1000万円を受け取ったときにかかる税額の例
今回は、以下の条件で母親が加入していた生命保険の保険金を子どもが受け取った場合に、かかる税金を求めましょう。
・相続人は子どものみ(成人済み)
・子どもが受け取った保険金は1000万円
・相続財産は保険金以外で3600万円
・贈与の場合、保険料の負担は父親、加入者は母親とする
・同じ年にほかの贈与は受けていないとする
・基礎控除以外は考慮しない
まず、保険金がみなし相続財産として相続税に該当したケースで考えます。今回の条件だと、みなし相続財産の非課税限度額は500万円、基礎控除額は3600万円です。
そのため相続財産の合計4600万円から非課税額と基礎控除を差し引いた500万円に対して課税されます。国税庁によれば、課税対象が500万円のときの相続税率は10%なので、相続税の税額は50万円です。
一方、贈与税の課税対象になった場合、基礎控除額は110万円です。つまり、保険金1000万円から基礎控除を引いた890万円が課税対象です。
また、保険金が贈与となるときは、保険料を支払っていた方から受け取った方への贈与とみなされます。国税庁によると、父親から成人の子どもが890万円を受け取ったときの贈与税率は30%、控除額は90万円のため、贈与税の税額は177万円です。
なお、所得税の場合、一時金で受け取ると一時所得の対象となり、税額は受け取った方の給与所得やほかの所得などと一緒に計算します。
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保険料を支払っていた人物が誰かによって税金の種類が異なる
母親の生命保険の保険金を子どもが受け取るとき、子どもに対して税金が課されます。ただし、その生命保険料を誰が支払っていたかによって、課される税金の種類は異なるため注意が必要です。
もし、相続税の課税対象ならほかの相続財産と、贈与税なら同じ年に受け取った贈与、また、所得税では給与所得などほかの所得と合算してから税額計算する必要があります。特に、相続税のときは保険金の一部が非課税となるため、計算時にはよく確認しておきましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1750 死亡保険金を受け取ったとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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