70歳になる妻の足腰が悪くなり、息子が「同居」してくれることになりました。「毎月10万円」の生活費を渡していますが問題ないでしょうか?
配信日: 2024.12.20
同居する子どもにお金を渡す場合、状況によっては課税される可能性があります。課税条件を知っておくと、子どもの負担を減らせるかもしれません。今回は、「生活費」としてお金を渡すことに問題はないのか、また子どもと同居するときの注意点についてもご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活費のみの負担なら税金はかからないと考えられる
基本的に、両親側から「生活費」としてお金を渡している場合は、贈与税はかからないと考えられます。国税庁では、「親子や夫婦間などで生活費、教育費として得た財産で、通常必要と認められる範囲であれば贈与税がかからない」としています。
日常生活に必要な費用は生活費に含まれるため、食費や水道光熱費などを含めて10万円を渡しても問題はないでしょう。ただし、生活費としてあまりにも高額であれば、税務署から指摘を受ける可能性があります。
総務省統計局の「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯」によると、2023年時点で世帯主が60歳未満の勤労者世帯(2人世帯)の場合は、平均消費支出が月に29万537円です。また、項目別に見ると以下のようになります。
●食料:7万343円
●住居:2万8404円
●光熱・水道:1万9357円
●家具・家事用品:1万2139円
●被服および履物:1万161円
●保健医療:1万3145円
●交通・通信:4万7304円
●教育:1701円
●教養娯楽:2万8569円
●その他:5万9413円
子ども夫婦の支出が平均レベルであれば、「食費+住居費」として約10万円を渡しても、生活費の範囲内であるため問題はないでしょう。
ただし、受け取った生活費を、子ども夫婦が貯金に回したり株式に投資したりすると、その金額分が課税対象となるケースもあります。「生活費」として渡すことを、しっかりと伝えましょう。
課税されるケースとは
贈与税は、年間の基礎控除額が110万円に設定されています。そのため、1年間で110万円を超える額の贈与があった場合、受け取る側は贈与税の支払いが必要になります。生活費としてではなく、お礼として渡す場合は、受け取る側に贈与税の支払いが発生する可能性があるため、注意しましょう。
例えば、子どもに毎月10万円ずつ「お礼」として渡すと、1年間で120万円になります。この場合は基礎控除額を超えるため、超えた分に贈与税が課されます。
また、贈与税は、1年間で受け取った財産の総額に対して課される税金です。子どもが、両親だけでなく親せきなどからも同年にお金を受け取り、合計が基礎控除額を超えた場合は贈与税が課されます。
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子どもと同居するときの注意点
体調の悪化などが原因で、子ども夫婦と同居する場合は、自分ができることを伝えておきましょう。「洗濯機は回せるけれど、干すのが大変」「この工程までなら料理も可能」など、できることを伝えておくと、子ども夫婦も手伝いやすくなります。
また、自分では「できる」と思っていても、子ども夫婦から見たときに「できていない」と思われるケースもあるでしょう。もし指摘された場合は、なぜそう思ったのかを聞いて、必要であれば支援を求めることが大切です。
ともに暮らすなかで、お互いに我慢することは避けましょう。お互いの意見を伝え合うことで、意図せぬ「すれ違い」も防ぎやすくなります。
生活費として渡す分には問題ないと考えられる
生活費を親から子どもへ渡す際には、それが通常必要と認められる範囲であれば贈与税がかからないとされています。そのため、今回の事例のように、同居する息子夫婦へ月に10万円を渡しても、生活費としてであれば課税はされないでしょう。
ただし、生活費ではなくお礼として渡したり、子ども夫婦が受け取ったお金を貯金や投資に回したりすると課税対象になります。渡したお金は、生活費として使用するように伝えましょう。
また、体調の悪化などが原因で子どもと同居する場合は「自分ができること・できないこと」を伝えることが大切です。お互いにすれ違いや我慢の多い生活とならないよう、定期的に話し合う機会を設けましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2023年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号3-1 世帯人員別
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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