娘が30歳になっても経済的に援助したいので、「300万円」を貯蓄しています。知人からは「親バカ」と言われますが、珍しいのでしょうか?
配信日: 2024.12.20
自立した子どもに金銭的支援をするときは、渡すタイミングや金額に注意が必要です。場合によっては、税金が課される可能性もあります。今回は、自立した子どもでもお金が必要なタイミングの例や、支援するときの注意点などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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子どもが自立したあとも必要なお金とは?
子どもが自立したあとに多額のお金が必要になるタイミングの一つに、人生のイベントごとが挙げられます。結婚式や子育てなどです。
カネとホンネ調査研究所が2023年に20~39歳の既婚男女412名へ実施した「結婚式にかかる費用についてのアンケート」によると、結婚式の平均費用は300万2000円でした。また、結婚費用のうちいくらを自分たちで出したかという質問には、平均133万8000円という結果になりました。
つまり、結婚費用のうちおよそ半分は親からの支援やお祝い金を利用しているといえます。実際、同調査では「親からの資金援助」についても質問しており、66.7%の方が親からの資金援助がありました。そのため、自立した子どものためにお金を取っておくことは珍しくないと考えられます。
また、もう一つの人生のイベントごとである子育ては、子どもが生まれてから自立するまで継続してお金が必要です。
文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査 調査結果の概要」によると、幼稚園の入園から高校卒業までにかかる費用は、すべて公立に通ったとしても総額574万4201円の結果でした。少しでも子どもの負担を減らすためには、孫の教育費や入学費用を支払うことも有効でしょう。
支援するときは贈与税に注意
子どもへ金銭的支援をするときは、贈与税の課税対象にならないかよく確認しておきましょう。贈与税は1年間で受け取った財産が110万円を超えると課税されるので、もし300万円をまとめて渡すと子どもが贈与税を支払う必要があります。税金の支払いで逆に負担を増やしてしまう結果にもなりかねません。
課税されないためには、基礎控除額の110万円の範囲でお金を渡すか、非課税項目を活用しましょう。国税庁によると、贈与税がかからない財産は12項目あります。
例えば、子ども家族の生活費や教育費のために、必要になるたびに支払ったお金には税金がかかりません。また、お年玉や入学祝いといったお祝い金なども、社会通念上相当と認められる範囲であれば非課税です。
300万円のうち、結婚祝いとして100万円、孫の入学金として100万円、生活費として100万円といった渡し方をすると、課税されない可能性があります。もし課税対象か分からないときは、専門家に聞いてみることも方法の一つです。
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自分たちの資金も考慮しておく
子どものためにお金を使うことも大切ですが、自分たちの老後の資金や万が一のお金は準備しておきましょう。もし大きなけがや病気になったとき、貯金がなければ結局子どもを頼ることになります。
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、2023年度の夫婦高齢者無職世帯の平均支出は消費支出が月額25万959円、非消費支出が月額3万1538円の合計28万2497円でした。対して、実収入は平均で月24万4580円なので、毎月3万7916円足りないことが分かります。
少なくともこの不足分をまかなえるだけの貯金は必要です。老後の生活に問題がないか、子どものための貯蓄をするときにチェックしておきましょう。
自立した子どものために金銭的支援をすることは珍しくない
学校を卒業し自立したあとでも、結婚式や子育てなど人生のさまざまなシーンで多額のお金が必要になります。子どものためにこうした援助を行う親は少なからずいるようです。実際、前述の調査では約70%の方が親から結婚式の費用を援助してもらっていることが分かりました。
ただし、子どもにお金を渡すときは贈与税の課税対象になる可能性があります。課税されないためには、金額や渡し方に工夫が必要です。
また、自分たちの老後や万が一の資金に影響が出ない範囲で支援するようにしましょう。
出典
カネとホンネ調査研究所 【調査レポート】結婚式の費用300万円! 3人に1人は挙式せず
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査 2調査結果の概要(18ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー