祖父が孫に毎年「110万円」贈与することに!「結婚・子育て資金の非課税」が廃止されるかららしいけど、どういうこと? 廃止時にかかる税金も試算
配信日: 2025.01.17
しかし先日、この非課税制度を廃止する方針が発表されました。今後、贈与にかかる税金や制度の変更がある場合、税金はいくら支払う必要があるのでしょうか。
本記事では、「結婚・子育て資金の非課税」についてと、制度が廃止された場合に支払う税金について解説していきます。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
親族間であっても贈与税はかかる?
贈与税は、個人間の財産の受け渡しが行われた際にかかる税金です。1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額が110万円を超えると、贈与税の対象となり、たとえ親子や祖父母と孫といった親族間のやりとりであっても、原則として税金が発生します。
例えば、祖父母から孫に年間200万円の贈与があった場合、110万円までは非課税ですが、110万円を超えた分の90万円が課税対象となり、その額に応じた贈与税がかかるのです。
非課税となる贈与の対象
基本的に110万円を超える贈与は課税の対象となりますが、贈与の中には非課税となる「特例」がいくつかあります。その「特例」となる贈与のひとつが、「結婚・子育て資金」の一括贈与です。
この贈与は、祖父母や父母といった直系尊属から、18歳以上50歳未満の子あるいは孫が、結婚や子育てのための費用にあてる分として贈与を受ける場合、1000万円まで非課税となるというものです。
しかし、政府はこの「結婚・子育て資金」の非課税制度に関して、利用が低調であること、贈与が格差を固定化しかねないといった観点から、廃止する方針を発表しています。この決定については、2025年に税制調査会で議論されますが、どうなるかは今後の動向を見守ることとなりそうです。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
非課税制度が廃止されたら、贈与税はいくら支払うの?
今後、「結婚・子育て資金」の特例が廃止されると贈与税はどうなるのでしょう。税制改正が行われた場合、どのような税率となるか現段階でははっきりしませんが、仮に現行通りの一般贈与税の計算の割合で課税された場合で考えてみましょう。
現行の税制度では、1年間に110万円を超える贈与があると、110万円までは非課税でそれを超えた額に贈与税がかかります。この課税の割合と控除額は超過部分の金額に応じて異なっています。
仮に800万円の「結婚・子育て資金」を祖父から孫へ一括贈与した場合、今までの特例を利用すれば、全額非課税となっていました。この特例が廃止されると、税金は次のように計算されます。
800万円-110万円(非課税分)=690万円
690万円×40%(税率)-125万円(基礎控除)=151万円(贈与税)
このように、同じ800万円の贈与でも、非課税の特例を利用した場合とそうでない場合では大きな違いが出てきます。そのため、この非課税の特例が廃止された場合は、暦年課税の非課税枠である「年間110万円」を超えないように、その都度贈与するのが節税の1つの方法となるでしょう。
今後の動向に注目。贈与は計画的に
今後「結婚・子育て資金」の非課税制度が廃止されると、将来的に贈与税の負担が増えることが考えられます。結婚や育児のためにと一括で贈与を行うと高額な税金がかかるかもしれないので、早い段階から「暦年贈与」を活用するのも1つの方法でしょう。
贈与を考えている人は、今後の動向をしっかりと確認するだけでなく、今から長期的に計画を立てて、贈与のタイミングを検討するのがいいかもしれません。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級