将来相続する地方の実家、住む予定がなく「空き家」に! 更地にして「売る」と譲渡所得額から「3000万円」の「控除」を受けられるって本当?

配信日: 2025.01.21

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将来相続する地方の実家、住む予定がなく「空き家」に! 更地にして「売る」と譲渡所得額から「3000万円」の「控除」を受けられるって本当?
相続した空き家(被相続人が住んでいた家)を一定期間内に、一定の要件を満たす形で譲渡した場合、その譲渡所得の金額から3000万円を控除できます。この制度を詳しく見てみましょう。
 
※ 相続した相続人の数が3人以上の場合は2000万円の控除です。
北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

制度のイメージ

被相続人が住んでいた家屋と土地を相続し、空き家になったものを更地にするか耐震改修した後に譲渡した場合に、その譲渡所得の金額から3000万円を控除できます。
 
令和6年1月1日以降の譲渡は条件が緩和されて、売買契約に基づいて、買主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修、または更地の工事を行った場合、工事の実施が譲渡後であっても適用対象となります。

<対象となる被相続人居住用家屋およびその敷地とは>

●相続の開始の直前に被相続人が住んでいたこと
●昭和56年5月31日以前に建築されたこと
●マンションなどのような区分所有建物でないこと
●相続の開始の直前に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
(相続の直前に老人ホーム等にいた場合も該当します)

 

特例の適用を受けるための要件

適用を受けるための要件は以下のとおりです。

(1) 譲渡する人(売却する人)が、相続等により被相続人居住用家屋・敷地等を取得した相続人であること
(2) 次のイ、ロ、ハに該当する売却をしたこと
イ 相続等により取得した被相続人居住用家屋・土地を売ること
この場合、事業・貸し付けしていないことや譲渡の時に一定の耐震基準を満たすものであることも必要です。
ロ 相続等で、被相続人居住用家屋の全部の取り壊し等をした後の敷地等を売ること
ハ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋・敷地等を売る場合で、相続の時から譲渡の時まで事業・貸し付けしていないこと
・譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこと
・譲渡の時からその譲渡の日の属する年の、翌年2月15日までの期間において、被相続人の居住用家屋のすべての取り壊し等を行ったこと(令和6年1月1日以後に行う譲渡に限ります)
(3) 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
(4) 売却する代金が1億円以下であること

 

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特例の適用を受けるための手続き

この特例の適用を受けるためには、以下の書類をそろえて確定申告する必要があります。

1. 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
2. 売った資産の登記事項証明書等
3. 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
4. 耐震基準適合証明書、または建設住宅性能評価書の写し(譲渡の日前2年以内に証明のための調査が終了している、または評価されているものに限ります)
5. 売買契約書の写しなど(売却代金が1億円以下であることの証明書)

現在国内では、空き家が多く発生しており社会問題になっています。総務省の最新の調査では、平成30年(2018年)空き家は349万戸あり、令和12年には470万戸まで増加する見込みです。
 
これを政府は令和12年までに400万戸程度に抑えることを目標としています。これらの空き家は、相続を機に発生したものが過半数を占めています。そのために空き家を早期に譲渡するよう相続人を後押しする必要があり、今回の適用緩和になっています。
 
3000万円の控除は魅力ですが、更地にしたり、耐震改修したりするには、高額の費用が掛かります。土地の価格の低い地方都市では、この特例は活用しづらいかもしれません。今後さらなる適用緩和を期待したいところです。
 

出典

国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性(令和4年10月)
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

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