大学進学のため上京する娘に「月10万円」仕送りの予定。仕送りなら「贈与税」がかからないと認識していますが、本当に大丈夫でしょうか?
本記事では、大学生への仕送りに贈与税がかかるかどうかについて解説します。また、大学生への仕送りの平均額についても紹介します。
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生活・教育のための仕送りは贈与税がかからない!
個人からの贈与によって財産を取得した場合、基本的に「贈与税」がかかります。このルールは大学生の子どもへの仕送りにも適用されるのでしょうか?
結論として、生活や教育のために必要と考えられる金額の仕送りに対しては、贈与税はかかりません。国税庁によると、「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は贈与税がかからない財産とされています。
「通常必要と認められるもの」の範囲は広く、国税庁のQ&Aによると「贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産」であるとされています。
例えば、生活費については日常生活を営むのに必要な金額に加えて、治療費やそれに準ずるものも含まれます。また、教育費についても義務教育費に限らず学資や教材費、文具費も含めた金額を仕送りしてよいとされています。
仕送りに贈与税がかかるケースとは?
大学生への仕送りには基本的に贈与税がかかりません。しかし、いくつかの例外はあります。
例えば、仕送りを使わずに預金したり、株式や不動産などを買うために使ったりするケースです。この場合、生活費や教育費のための仕送りであるとはみなされず、通常の贈与とみなされ贈与税がかかります。
また、数年分の生活費・教育費を一括で仕送りした場合も、贈与税がかかる可能性があります。仕送りは「必要な都度直接これらの用に充てるために贈与を受けた財産」とされているからです。
こういったケースを避けるために、生活や教育に必要な金額を計算したうえで、1ヶ月ごとに仕送りするのがよいでしょう。
大学生への仕送りの平均金額はいくら?
大学生への仕送りの平均金額はいくらくらいなのでしょうか? 全国大学生活協同組合連合会が2023年に調査した「第59回学生生活実態調査」によると、下宿している大学生への仕送りの平均金額は「7万120円」という結果でした。
仕送り金額が「月10万円以上」の下宿生は「26.4%」となっており、全体のおよそ4分の1です。月10万円程度の仕送りは生活・教育のために必要であると考えられているようです。
前掲の調査によると、下宿生の生活費の平均は「12万7500円」となっており、10万円を超えています。月10万円というのは仕送りとして妥当な金額ではないでしょうか。
生活費・教育費として妥当な金額を仕送りしよう
月10万円の仕送りは年間120万円の贈与であるため、生活費や教育費として使われなければ贈与税がかかります。そのため、仕送りには生活や教育に必要な分だけの金額を送る必要があります。
生活費や教育費として必要な金額であれば、月10万円という仕送り金額には贈与税がかかりません。下宿生の生活費の平均から考えても、贈与税がかかる可能性は低いでしょう。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
全国大学生活協同組合連合会 第59回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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