子どもの大学資金が足りず、親に相談したら「孫のために500万円なら支援できる」と言われました。贈与税はいくら払う必要がありますか?

配信日: 2025.02.12 更新日: 2025.07.02
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子どもの大学資金が足りず、親に相談したら「孫のために500万円なら支援できる」と言われました。贈与税はいくら払う必要がありますか?
高校2年生の子どもが薬剤師を目指しているが、将来の大学資金がどうやら足りそうにないと感じたAさん。父親に相談したところ、「500万円なら孫のために支援する」と言われました。ただ、大金なのできっと贈与税がかかると思い、いくらくらい払う必要があるのか相談に来られました。
 
本記事で、教育資金の援助と贈与税について解説します。
田久保誠

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

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贈与税とは? “500万円”は贈与税がかかる金額なのか?

贈与税とは、贈与によって個人から財産を得たときにかかる税金です。その年の1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産の総額から、暦年課税の基礎控除額である110万円を差し引いた残額に対して課税されます。これを「暦年課税」といいます。
 
したがって、一般的にはこの相談の場合、一括で500万円の贈与を受けたのであれば、500万円から基礎控除の110万円を引いた390万円に対して贈与税がかかってきます。ちなみに、今回は関係ありませんが、法人からの贈与の場合は所得税の対象となります。
 

実際には贈与税がかからない!?

しかし、実際にはこのケースは贈与税がかかることはありません。
 
なぜなら、令和8年3月31日までの間に、受贈者(教育資金管理契約を締結する日において30歳未満の人に限る)が、教育資金に充てるため、金融機関等とのその教育資金管理契約に基づいて、贈与者(受贈者の直系尊属である父母や祖父母など)から信託受益権を取得した場合、その信託受益権または金銭等の価額のうち1500万円までは、教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、受贈者の贈与税は非課税です。
(出典:国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」)
 

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非課税となる「教育資金」は、どのような資金(費用)が認められるの?

この場合の「教育資金」とは、以下の2つの資金を指します。
 
1. 学校等に対して直接支払われる、次のような金銭
(1)入学金、入園料、授業料、保育料、施設設備費、または入学試験の検定料など
(2)学用品の購入費など学校等における教育に伴って必要な費用など
 
2. 学校等以外の者に対して、直接支払われる以下のような金銭で教育を受けるためとして支払われる、社会通念上相当と認められるもの
・通学定期券代
・留学のための渡航費
などの交通費
 
今回は、孫の大学進学に関しての費用ですので主なものを挙げましたが、小学校~高校の場合にはこれら以外の費用も認められます。詳細は、文部科学省のホームページに掲載されています。
 

口座の開設、申告書の提出が必要

この非課税制度の適用を受けるためには、教育資金口座を開設する必要があります。教育資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関に、預け入れ等をする日までに提出等をしなければなりません。
 
そして、これを金融機関が受理したことによって、受贈者(=孫)の納税地の税務署に提出されたものとみなされます。
 

万一、贈与者である父が亡くなったら?

贈与者である父が死亡した場合、その死亡の日における「管理残額」について、受贈者が贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなされ,相続税の課税対象となります。
 
ただし、受贈者が23歳未満である場合や大学に在学している等のときは、原則課税対象外です。
 

せっかくのお父さんからの申し出、せっかくの制度なので…

Aさんのお金(税金)についての心配は、ひとつなくなりました。ただし、上記以外にも手続き等があります。薬学部や医学部のような学費が高いうえ、6年間も通うとなると経済的な面で心配が出てきますが、この制度を利用できるのであれば、有効に使っていくことをお勧めします。
 

出典

国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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