大学生の息子に「毎月12万円」仕送りをしています。年間で「110万円」を超えますが、贈与税は発生するのでしょうか?
配信日: 2025.03.11

本記事では、仕送りについても贈与税がかかるのか見ていきます。

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている
両親がそれぞれお金を送った場合は?
「暦年贈与」という言葉があります。この仕組みは「年間110万円までの贈与には、贈与税がかからない」というものですが、家族とはいえ贈与額が110万円を超えると、贈与税がかかるケースがあります。大学生の子どもに仕送りするときにも、この暦年贈与が適用されるかというと、仕送りは贈与として捉えられないと考えられます。
暦年贈与は、例えば父親と母親がそれぞれ別に贈与を行った場合は、それぞれ110万円までが非課税になるのではなく、受け取った子ども1人に対しては110万円までしか非課税となりません。
贈与した人が複数人いる場合にも、それぞれに対して110万円の控除があるわけではなく、贈与された人に対して控除される額が決まっています。複数人から贈与されていても、人数に関わらず基礎控除は110万円となります。
子どもへの仕送りは贈与税の対象?
親から子へ贈与する場合でも、年間110万円までの贈与には税金がかかりませんが、110万円以上の贈与には、110万円を超えた額に対して贈与税がかかります。
毎月12万円を1年間送ると144万円となり、「34万円に対して税金がかかるのだろうか」と考えてしまう親もいるのでしょう。
ただ、子どもが自宅から離れて大学に通う場合、住居費や光熱費、学費など、子どもに必要なお金を親が出すことは多いと思われます。この子どもの生活や教育に関する費用に関しては、原則として贈与税の対象外となります。
同居している場合には、親が子どもの生活費も出しているのは当然として、親元を離れて大学に通う場合も、親が子どもの生活費を出していることになり、扶養している状態となります。この状態を「生計を一にする」といいます。
「生計を一にする」という言葉の定義は、国税庁のホームページにも記載されています(下記出典)。
なお、通常必要と考えられる額以上である場合や、仕送りしたお金を子どもが貯蓄していたり、投資をしていたりすると、贈与とみなされる可能性もあるので注意が必要です。
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仕送りをするときの注意点
「子どもの扶養のための仕送りであれば、暦年贈与の対象とならない」と安心した親が、年間110万円以上のお金を仕送りする場合にも注意点があります。
毎月一定額を子ども名義の口座に振り込んでも、子どもが「親に負担をかけたくない」と気遣って仕送りには手を付けず、アルバイトなどをして生活費を作っていると、110万円を超えた場合に、贈与とみなされる可能性があります。
親にまとまったお金があり、「毎月仕送りするのが手間になるから」と一度に振り込むのも避けたほうがよいでしょう。毎月の生活費としての仕送りなので、定期的に振り込みすることが大切です。
なお現在は18歳が成人年齢となりますので、金融機関との契約も子どもが自身の判断でできるようになります。仕送りしてもらったお金で投資などを行った場合には、仕送りとしては認められず「贈与」とみなされる可能性もあるので、注意が必要です。
まとめ
暦年贈与とは、「贈与を受けた人は、年間で110万円までの贈与であれば、申告は不要で課税もされない」という制度です。
ただし、子どもが親元を離れて大学に通っている場合に、親が家賃などを仕送りすることは多いと思われます。この仕送りは贈与とは捉えられず、「生計を一にする」という状態として扱われ、子どもは親から扶養されていることになります。
なお必要以上に高額な仕送りや、子どもが仕送りしたお金を貯蓄していたり、投資していたりすると、仕送りではなく贈与と捉えられる可能性もあるので、注意が必要です。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 生計を一にする
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー