孫が大学受験のために塾に通っていました。娘夫婦の助けになるよう塾代を肩代わりしてあげたいのですが「贈与税」の対象になるのでしょうか?

配信日: 2025.03.14

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孫が大学受験のために塾に通っていました。娘夫婦の助けになるよう塾代を肩代わりしてあげたいのですが「贈与税」の対象になるのでしょうか?
教育費は、住宅費や老後のための費用同様、大きな支出であることから、人生の三大支出ともいわれています。したがって、子どもの生活にかかる費用の負担を少しでも軽くするため、孫(自分の子どもにとっての子)の教育費の負担を少しでも緩和させたいという思いもあるでしょう。もちろん、単純に孫がかわいいので援助したいということもあるでしょう。
 
本記事では、祖父母から孫への教育資金を援助するときの税制と留意点について解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

教育資金を対象とした非課税制度について

活用できる非課税制度を解説します。
 
1. 暦年贈与
 
1年間(1月1日〜12月31日)に贈与を受けた財産の価値合計額が110万円以下であれば、贈与を受けても、原則、贈与税は発生しません。その使用目的、贈与者、受贈者いずれも限定されず、申告等も不要です。したがって、この金額に収まる範囲での孫への教育資金もその対象となります。
 
2. 都度贈与
 
直系尊属、すなわち父母、祖父母、養父母が孫の教育費を都度負担すれば、扶養義務の範囲内という考えから非課税扱いとなります。
 
具体的には、孫の学習塾代や入園料、保育料、入学金、授業料や学用品の購入費など社会通念上相当と認められる教育費が該当します。また、非課税の上限額は決められていませんが、一般常識的な金額を超えないことが1つの目安となります。
 
なお、贈与にあたっては、都度、必要な金額を贈与し、贈与額や贈与日を明確にする必要がありますので、金融機関にそのやり方を相談するとよいでしょう。
 

教育資金を一括贈与する場合の非課税措置について

上記のように都度、暦年贈与を行わず一括して贈与を行っても、贈与税が非課税となる制度があります。
 
この制度を活用する場合には、以下の条件が必要です。

1. 直系尊属(父母、祖父母、養父母)が、令和8年3月31日までに、30歳未満の方に贈与する場合
 
2. 金融機関等に教育資金口座の開設等を行うこと
 
3. 教育資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等に提出すること
 
4. 教育資金の支払に充てた金銭にかかる領収書など、その支払の事実を証する書類等を口座開設等を行った金融機関等に提出をすること

なお、この金融機関等との契約は、次の場合に終了します。

1. 受贈者が30歳に達したとき
 
ただし、学校等に在籍しているなど教育費が必要であることを金融機関に届けた場合は除きます。
 
2. 受贈者が30歳以上で、その年に学校等に在籍した日や教育訓練を受けた日があることを金融機関等に届け出をしなかった場合には、その年の12月31で終了となります。
 
3. 受贈者が40歳に達したとき
 
4. 口座の残高がゼロになり、契約を終了する合意があった場合
 
5. 受贈者が亡くなった場合

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まとめ

孫への教育費であれば、通常の暦年贈与に加えて、都度贈与や教育資金の一括贈与ができる非課税制度があります。また、それぞれを併用することも可能ですので、状況に応じて制度を組み合わせながら活用するとよいでしょう。
 
なお、実際に贈与する際には、さまざまな条件がありますので、金融機関と相談して行うことをお勧めします。
 

出典

国税庁 【贈与税の申告等】
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A(平成25年12月)
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制 度のあらまし
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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