母の遺品整理をしていたら「タンス預金」の10万円が出てきました。へそくりだと思うのですが、「相続税」に影響はあるのでしょうか?

配信日: 2025.03.24

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母の遺品整理をしていたら「タンス預金」の10万円が出てきました。へそくりだと思うのですが、「相続税」に影響はあるのでしょうか?
故人の遺品整理をしていると、タンスの中から現金が出てくることもあるかもしれません。いわゆる「タンス貯金」ですが、これがへそくりだった場合、相続税に影響があるかどうか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、「相続税の課税対象は何か?」「へそくりは相続税の課税対象になるのか?」について解説します。へそくりについての意外な事実についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

相続税の課税対象は何か?

相続税は、原則として、亡くなった方の財産を相続・遺贈などによって取得したとき、その取得した財産に対して課税されます。
 
ここでいう財産には、現金・預金・有価証券(株券・債券など)・土地・建物など有形のものはもちろん、貸付金(債権)・特許権・著作権など無形のものであっても経済的価値のある(お金に換算できる)ものも含まれます。これらの財産を、一般に、「本来の相続財産」といいます。
 
また、以下の財産も相続税法の規定などにより、相続税の課税対象となります(みなし相続財産ほか)。

●死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など
●被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用資産など
●教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額(一定の場合を除く)
●結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額
●相続や遺贈で財産を取得した人が、加算対象期間内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産(一定の場合を除く)
●被相続人から、生前、相続時精算課税の適用を受けて取得した贈与財産
●相続人がいなかった場合に、民法の定めによって相続財産法人から与えられた財産
●特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額で確定したもの

(国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」より)

へそくりが相続税に影響がある(相続税の課税対象となる)かどうかは、へそくりが誰の財産に当たるのかで判断することになります。
 

へそくりは相続税の課税対象になるのか?

「へそくり」の意味を「コトバンク」で調べると、「家族共同の家計用ではなく、家族の誰かが個人的に使用できる私財」と出てきます。本記事の例の場合、「母の遺品整理をしていたら『タンス預金』の10万円が出てきました」「へそくりだと思う」とあります。これらを考慮すると、へそくりは母親の財産であるかのようにみえます。
 
ここで注目するべき点は、「へそくりはもともと誰のお金(誰が稼いだお金)だったのか?」ということです。へそくりとは、家計を任された方がやりくりをしていくなかで、こっそりと貯めたお金のことをいいます。
 
一見、この貯めたお金は「家計を任された方のもの」のようにみえますが、実際には「家計にお金を出した方のもの」です。へそくりが相続税の課税対象となるかどうかも、同じように考えます。
 
つまり、母親のへそくりを相続開始後に発見した場合、もともと母親のお金であったなら相続税の課税対象となりますが、そうでない場合(例えば、息子さんの稼いだお金で家計のやりくりによるへそくりであった場合など)は相続税の課税対象とはならないと考えられます。
 
へそくりでよくあるケースといえば、ご主人が稼いだお金を専業主婦である奥さまが管理(家計管理)してへそくりをしていた場合です。この場合においてご主人が亡くなると、そのへそくりはご主人の財産(本来の相続財産)として、相続税の課税対象となります。
 

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まとめ

本記事では、「相続税の課税対象は何か?」「へそくりは相続税の課税対象になるのか?」について解説しました。まとめると以下のようになります。

●相続税の課税対象は「本来の相続財産」と「みなし相続財産」である
●へそくりは相続税の課税対象になり得る

へそくりの一般的な認識は、「へそくりをした方のもの」かもしれません。しかし、実際の捉え方は「そのお金を稼いだ方のもの」です。つまり、稼いだ方が亡くなったとき、そのへそくりは「本来の相続財産」となり、相続税の課税対象となります。
 
反対に、へそくりをした方が亡くなったとしても、その方が稼いだお金でなければ相続財産とはならず、相続税の課税対象とはなりません。
 
本記事において、へそくりにおける意外な事実を発見された方もいらっしゃるかもしれません。へそくりは本来、隠しておくものなのでしょう。しかし、相続が発生したとき(かつ、相続税が発生したとき)は、隠さずにきちんと申告するようにしてください。
 

出典

国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
株式会社DIGITALIO、株式会社C-POTコトバンク へそくり
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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